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  1. 東京都議会 1998-02-25
    1998-02-25 平成10年_第1回定例会(第1号) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時一分開会・開議 ◯議長(田中晃三君) ただいまから平成十年第一回東京都議会定例会を開会いたします。  これより本日の会議を開きます。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(田中晃三君) まず、会議録署名議員の指名を行います。  会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において    四  番 中西 一善君 及び    六十七番 樺山 卓司君 を指名いたします。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(田中晃三君) この際、謹んでご報告申し上げます。  名誉都民井深大氏には、去る平成九年十二月十九日、逝去されました。また、名誉都民武原はん氏には、去る二月五日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。  ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福を祈り、議会として深甚なる弔意を表します。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(田中晃三君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。 ◯議事部長(渡邉泰弘君) 知事より、平成十年二月十八日付東京都告示第百二十三号をもって本定例会を招集したとの通知がありました。  また、同日付で、本定例会に提出するため、議案百六十九件の送付がありました。  次に、地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した、特別区国民健康保険の保険料の料率の改定についての報告及び承認について依頼がありました。  次に、知事及び各行政委員会より、平成十年中における東京都議会説明員及び説明員の委任について、地方自治法第百二十一条及び東京都議会会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。  次に、知事より、平成九年第四回定例会の会議において同意を得た東京都固定資産評価審査委員会委員の任命について、発令したとの通知がありました。
     次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が三件ありました。  内容は、東京都児童福祉施設条例の一部を改正する条例外一件の報告について、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について、並びに東京都高等学校・大学等進学奨励事業に係る貸付金の償還免除に関する報告についてであります。  次に、監査委員より、平成九年度第二回工事監査、平成九年度財政援助団体等監査(その一)及び例月出納検査の結果について、それぞれ報告がありました。  最後に、特別区に執行委任した事務に関する監査結果の報告が、台東区外十九区より四十件提出されました。 (別冊参照)      ━━━━━━━━━━ ◯議長(田中晃三君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。  平成九年第四回定例会に提出されました、大西由紀子さん、藤田十四三君、くぼた光君及び和田宗春君の文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。      ───────────── 九財主議第六一四号 平成十年二月十三日            東京都知事 青島 幸男  東京都議会議長 田中 晃三殿    文書質問に対する答弁書の送付について  平成九年第四回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。        記    大西由紀子議員    藤田十四三議員    くぼた 光議員    和田 宗春議員      ───────────── 平成九年第四回都議会定例会    文書質問趣意書              提出者 大西由紀子 質問事項  一 重度視覚障害者ガイドヘルパーについて  二 東京都多摩障害者スポーツセンターの利用について  三 小金井公園野外ステージ計画について 一 重度視覚障害者ガイドヘルパーについて   重度視覚障害者ガイドヘルパー養成研修事業については、東京都は厚生省より平成九年五月二十三日に出されたガイドヘルパー養成研修実施要綱より先行して実施されており、尚かつ充実した内容のものが行われています。また、各市町村でも主体的な施策がなされています。   今日、障害者(児)に関する施策はノーマライゼーションの理念に沿って行われ、円滑にすすめるにあたってはたくさんの都民の理解と協力が必要です。幸いなことに元気な六十歳以上の方が積極的な社会参加を望んでいる現状を考えますと、一歩すすめた施策の展開が可能かと考えます。  1 現在、東京都のガイドヘルパー研修は、年四回行われ、研修場所が東京都心身障害者福祉センター(新宿区)で三回、東京都多摩障害者スポーツセンター(国立市)で一回実施されています。    東京都重度視覚障害者ガイドヘルパー派遣事業運営要綱によりますと、第三条(派遣対象)の中に、「社会参加促進の観点から」という文言が明記されております。その立場からすると、その必要性に対して大いに応えていくべきだと考えます。    そこで以下のことについて質問致します。   ア 重度視覚障害者ガイドヘルパー研修が現在年四回(参加数平成八年度八十三名)しか行われていませんが、どのような見解を持っているのか伺います。   イ 重度視覚障害者ガイドヘルパー研修を地域の利便性も考慮し、東京都多摩障害者スポーツセンター(国立市)での実施回数を増やすべきと考えますが、見解を伺います。   ウ 多摩地域での重度視覚障害者ガイドヘルパー研修を年一回から二回に増やすことに対しての見通しを伺います。  2 東京都多摩障害者スポーツセンター(国立市)の目的、事業内容、さらに現状の集会室の利用状況から考えますと、重度視覚障害者ガイドヘルパー研修を行うことは十分可能と考えますが、見解を伺います。  3 平成九年五月二十三日厚生省から出されたホームヘルパー養成研修実施要綱の4、事業実施事項ガイドヘルパー養成研修事業の実施について及びこれが準ずる厚生省通知「ホームヘルパー養成研修事業の実施について」(七年七月)の「8(1)ホームヘルパー養成研修事業の指定」を踏まえ、積極的な事業展開をはかるため、指定講習制度を設け、社会福祉協議会、福祉公社やNPOなどでの、重度視覚障害者ガイドヘルパー研修を行うことを促進すべきと考えますが、見解と見通しを伺います。 二 東京都多摩障害者スポーツセンターの利用について   同スポーツセンターが国立市富士見台に開設されてから十三年経ちました。経営にあたる(財)日本身体障害者スポーツ協会のご努力もあるでしょうが、トレーニングに励みパラリンピックで選手として活躍なさる方や、健康増進をめざすスポーツ愛好家、またリハビリやリラクゼーションとして各種の運動に取り組む方など、その利用者は年々増加し、平成八年度の利用延べ人数は十三万人を超えたと聞いております。そのうち約二七%は介護者ならびにボランティアの中には、地元・国立市民のボランティアとしてのかかわりも多く、市民の愛する大学通りに位置するという場所柄もあり同施設は地域住民にも親しまれています。しかし、障害者も健常者も共に豊かに生き、たすけあえる共生のまちづくりを進める観点からみると、さらに両者の交流の場、理解しあえる機会が工夫されてもよいかと考えます。都民の貴重な税金によって設立されたこのセンターが、精神的なバリアフリーの福祉施策の発信基地として、有効に利用されることが望まれます。障害のある方たちが利用しやすく、そして健常者にも開かれた施設をめざす立場から、以下質問いたします。  1 現在、送迎用のリフトバスが中央線の国立駅と同施設を結んで一時間に一本運行されています。施設利用者の地域別登録者をみると、府中、調布、多摩、狛江に住んでいる方も多く、スロープが設置された南武線の谷保駅に下車し、送迎用バスを利用できたら便利であると思われますが、いかがでしょうか。また谷保駅に加えて矢川駅にも循環できれば、矢川方面に住む障害者にとっては、施設が利用しやすくなると考えますが、併せて伺います。  2 障害者の利用増加にともなって、運動の種類によっては介助など手伝いの必要な方も増えています。介助については利用者側で確保することになっていますが、近年とくに利用の増えている水泳の介助ボランティアなど、安心してかかわれる人の裾野を広げることが必要です。意思ある健常者と利用者の出会いを応援するためにも、集会室等を使ってスポーツ・ボランティアの入門講座を行うことを提案しますが、いかがでしょうか。  3 現在、介助者などのボランティアの登録・紹介等の窓口としての機能はありませんが、衣服の着脱時に介助者の手当てが必要との利用者の声も聞いております。そうした機能があれば参加しやすいと思う市民も多いと考えますが、見解を伺います。  4 同スポーツセンターでは、地域住民との交流、センターへの理解を深めることを認めることを目的に、毎年、納涼祭やクリスマス会を地域に開かれた行事として行い、楽しみにされているようです。しかし、日常的な活動を通じて交流し、共に生きる仲間として理解しあうことも大事です。そこで車イスによるバスケットやテニス、卓球などを健常者も体験できる日を設けてはいかがでしょうか。 三 小金井公園野外ステージ建設計画について   小金井公園は、約七十七haの都立公園最大の規模を誇り「花の緑のひろびろ空間」を基本テーマに、四季を通し都民の憩いの場として広く親しまれております。   このような中で、現在公園内に野外ステージを建設する計画が、進められようとしております。しかし、この計画について、近隣及び関係住民に十分知られておらず、中にはマスコミ報道によって、事態の進行をはじめて知る人々もおり非常に驚き、且つ怒る方々もおられるようです。   野外ステージ建設を要望する住民がおられることは承知していますが、予想される騒音や交通問題、そして環境問題などの観点から強い危惧をいただいておられる住民も多数存在しております。   とりわけ環境問題としては、本年七月に発見されたオオタカの営巣です。いうまでもなく、オオタカは、絶滅の恐れがあり、国の保護鳥となっておりますが、小金井公園内に、三羽のヒナが巣立っております。このため、地域にこうした環境を守っていこうとする動きが、始まっており、公園内環境に対する関心は強くなっております。   十一月二十七日には、都と地域住民との話し合いがなされたようですが、隣接地域の住民からは、生活及び自然環境のますますの悪化を心配する声が多く出されたように聞いております。   そこで、伺います。  1 今後の建設計画に対しては、近隣住民との十分な協議や話し合いによって合意を得るまで、いたずらに計画を進めず、必要な調査(車の増加、騒音等が住民生活に与える影響、オオタカへの影響など)や検討を行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。      ………………………………… 平成九年第四回都議会定例会    大西由紀子議員の文書質問に対する答弁書 質問事項  一 重度視覚障害者ガイドヘルパーについて   1 重度視覚障害者ガイドヘルパー研修について    ア 重度視覚障害者ガイドヘルパー研修が現在年四回(参加数 平成八年度八十三名)しか行われていないが、見解を伺う。 回  答   重度視覚障害者ガイドヘルパーに対する研修については、これまで、都が独自に取り組んできたものです。   本年度、国から「ガイドヘルパー養成研修実施要綱」が示されたところであり、今後は、同要綱の趣旨を踏まえつつ、研修の充実を図っていきます。 質問事項  一の1のイ 重度視覚障害者ガイドヘルパー研修を地域の利便性も考慮し、東京都多摩障害者スポーツセンター(国立市)での実施回数を増やすべきと考えるが、見解を伺う。 回  答   また、同研修については、ガイドヘルパーの資質の向上のため、研修の充実に努めていきます。 質問事項  一の1のウ 多摩地域での重度視覚障害者ガイドヘルパー研修を年一回から二回に増やすことに対しての見解を伺う。 回  答   多摩地域での同研修については、地域の利便性に配慮して検討していきます。 質問事項  一の2 東京都多摩障害者スポーツセンター(国立市)の目的、事業内容、現状の集会室の利用状況から考えると、重度視覚障害者ガイドヘルパー研修を行うことは十分可能と考えるが、見解を伺う。 回  答   重度視覚障害者ガイドヘルパーに対する研修の実施場所等については、区市町村の意向や受講者の利便性を踏まえて、さらに検討していきます。 質問事項  一の3 厚生省のホームヘルパー養成研修実施要綱等を踏まえて、指定講習制度を設け、社会福祉協議会、福祉公社、NPOなどで重度視覚障害者ガイドヘルパー研修を行うことを促進すべきと考えるが、見解と見通しを伺う。 回  答   国においては、ガイドヘルパー養成研修事業を、適当と認められる講習機関等に委託することができることとしており、都としても、御指摘の社会福祉協議会等の活用についても検討していきます。 質問事項  二 東京都多摩障害者スポーツセンターの利用について   1 国立駅と結んでいる送迎用リフトバスを、スロープのある南武線谷保駅に下車し、利用できたら便利と考えるが、どうか。また、矢川駅にも循環できれば、施設が利用しやすくなると考えるが、併せて伺う。 回  答   リフトバス運行に関しては、南武線を利用される方の利便等についても、検討していきます。 質問事項  二の2 健常者と利用者との出会いを応援するためにも、集会室等を使ってスポーツ・ボランティアの入門講習を行うことを提案するが、所見を伺う。 回  答   都としては、障害者スポーツセンターにおける各種行事や、「身体障害者スポーツ指導員講習会」等により、障害者スポーツの理解者の拡大を図っておりますが、御提案の「スポーツ・ボランティア」につきましては、このような障害者スポーツの普及啓発の中で、研究していきます。 質問事項  二の3 多摩障害者スポーツセンターには、介護者などのボランティアの登録・紹介等の機能はないが、そうした機能があれば参加しやすいと思う市民が多いと思うが、見解を伺う。 回  答   ボランティアの登録・紹介等については、地元市と連携して、ボランティアセンターにも協力を求め、利用者が利用しやすい体制作りに努めていきます。 質問事項  二の4 多摩障害者スポーツセンターでは、毎年、納涼祭、クリスマス会を地域に開かれた行事として行っているが、車椅子によるバスケットやテニス、卓球などを健常者も体験できる日を設けてはどうか、所見を伺う。 回  答   障害者スポーツセンターでは、各種の催しの中で、健常者も参加できる「車いすバスケットボール体験」などを行っていますが、障害者への理解がさらに深まるよう、今後とも、交流の拡大に努めていきます。 質問事項  三 小金井公園野外ステージ建設計画について   1 建設計画は、近隣住民と十分な協議や話し合いを行い、合意を得るまで計画を進めず、必要な調査(車の増加、騒音等が住民生活に与える影響、オオタカへの影響など)や検討を行うべきと考えるが、見解を伺う。
    回  答   小金井公園野外ステージは、小金井市をはじめとする地元六市からの永年の要望を踏まえ、公園としての価値を一層高める施設として、計画したものです。   建設に当たっては、今年度予定しているオオタカに関する調査や野外ステージからの音響が周辺に及ぼす影響の調査等の結果を踏まえ、自然との共生に配慮した適切な設計を行い、近隣の方々との話し合いを進めながら、実施していきます。      ───────────── 平成九年第四回都議会定例会    文書質問趣意書              提出者 藤田十四三 質問事項  一 財政健全化計画と行政改革について  二 平和行政について  三 私学助成について  四 市場行政について  私は、現下の東京都政を見すえ、緊急且つ重要と思われる次の四点について質問いたします。  一 財政健全化計画と行政改革について  二 平和行政について  三 私学助成について  四 市場行政について  夫々、知事並びに関係局長が誠意ある回答を寄せられるよう期待します。 一 財政健全化計画と行政改革について   まず、現在、まさに論議たけなわである財政健全化計画と行政改革に関連して二点伺います。  1 第一に、東京の福祉水準切り下げに対する危惧についてであります。既に、都は「財政健全化計画実施案」を公けにし、三十事業に上る施策の見直しを発表、この一環として「シルバーパス交付」「老人医療費助成(都負担分)」「心身障害者(児)医療費助成」「民間社会福祉施設職員給与公私格差是正」「社会福祉振興事業助成」など全般的に見直すことを明らかにしています。    これらは、すべて平成十年度都予算とかかわっており、くわしくは平成十年一月下旬に発表される「知事原案」を見すえ、予算審議が爼上にのぼる平成十年度第一回定例会本会議で都の考えを改めて質したいと思っておりますので本文書質問では極めて端的に知事並びに関係局長に伺っておきます。    第四回定例会(十二月議会)の代表質問、一般質問で明らかになった都議会各党、派の意向は、おしなべて、これらの見直しに全面的に賛成しておりません。まさに四面楚歌の感すらうかがえるのであります。私は、平成十年度都予算を念頭に三十一の各種団体から要望をお聞きしましたが、福祉関係団体はこうした見直しには断固反対の意志を明確にしており、この見直しは都の医療、福祉制度そのものを危うくするものであり、都の福祉水準の切り下げは必至であることに重大な懸念を表明しています。    確かに、去る十二月十二日都議会財政委員会で「財政健全化計画実施案」の根拠となる平成十年度の税収予測約四兆七千億円について「神風が吹かなければ達成不可能」と主税局首脳が言わざるを得ない財政見通しの中で、「見直し」の一方で、少子、高齢化という深刻な社会の進行をふまえ、且つ、その上で、介護保険の実施という国策にシフトした、新たな施策の展開、計画の前倒し等施策の充実など、並々ならぬ努力を傾けていることをむげにしりぞけることはできませんが、だからと言って、第四回定例会(十二月議会)で示された議会側の意向を単に「総論賛成、各論反対」という図式で丸めて受け止めたり、都の医療、福祉制度の根幹に及ぶとその危機感をつのらせる関係団体の声を、一過性の単発的な要請行動だと内心軽視するようなことがあれば、平成十年度予算案否決の事態も招来しかねないことを充分認識すべきであります。    議会並びに関係団体から、今日只今、都に寄せられている声を知事並びに関係局長はどのようにうけとめているか、まず率直にお聞かせ頂きたい。  2 次に、例えば福祉振興事業助成制度見直しについて、東村山市議会が反対の意見書を採択し、三多摩各市長がかかわっている政策調査特別部会で参加市長から「合意不可能」との強い意見が出され、同席された都財務局主計部幹部も「財務局も一刀両断は考えていない」と答えざるを得なかったと聞きます。    又、私は、自ら、都内の民間福祉施設並びに職員で構成する「東京の福祉水準切り下げ民間福祉施設職員給与公私格差是正見直しに反対する連絡会」にかかわっていますが、同連絡会が「民間福祉施設職員給与公私格差是正事業」の根本的見直しは、社会福祉職場の担い手の生活のみならず、社会福祉法人の経営や、現在の福祉制度そのものを危うくするとの観点から巾広い反対活動を広げ、多くの共感を広げていることを見聞きしています。    一体、知事並びに関係局長はこうした方々の理解と協力を得られる確信はあるのか。見切り発車するつもりなのか。具体的には接点を得るために如何なる努力をつみ上げる所存か。具体的にお聞かせ頂きたい。  3 さて、ひるがえって見直し問題をつめてゆくと、ゆきつくところ、結局「財源」問題という基本にたどりつくことは論をまちません。    従って、「立枯れ」という暴論に通じかねない、短絡した臨海部開発の中止や、建設局予算に多くみられる投資的経費を、やみくもにやり玉に挙げる開発即大企業優先の論議に、無批判に組する立場に立たないまでも、臨海部開発見直しと、投資的経費の更なる見直しは、財源論議をつめてゆく上で最早さけてとおれないというのが私の認識でもあります。    そこでお伺い致します。都は私の指摘する財政論議にかかわる二つの課題について、現在まで説明してきた見直案以外は一歩もひけないということなのか。もう一度洗い直し議会と共に智恵を出し見直しをすすめる意志ありやなしや、この際、知事並びに関係局長の率直なお考えをお聞かせ頂きたい。  4 質問の二点は、厳しい行財政改革論議の中で、第四回定例会(十二月議会)で「給与条例改正案」が見送られた「九七賃金」について伺います。    結論から言うならば、私は十月八日に勧告された九七賃金について、一二月定例都議会で給与条例改正案の提案が見送られたことは、都民の立場に立った行政をめざし、一層の「住民福祉の向上」にむけて、日夜懸命に努力し、内部努力を重ねるなかで、効率のよい事業運営に努めている職員の期待を裏切り、勤労意欲の低下にも、つながりかねない極めて残念な事態であったと言わざるを得ません。    ご承知のとおり、東京都は世界一物価の高い都市であり、高額住宅ローンの返済などによって、都職員の生活実態は非常に厳しいものとなっています。年の瀬をむかえその深刻さが一層増しています。    都財政の状況はふまえつつも、人事委員会勧告労働基本権制約の代償であることを決して忘れてはなりません。従って、人事委員会勧告は当然完全実施されるべきであります。すでに国・他政令指定都市・特別区では年内清算の方向が固まり、都職員のみが決まらないというのは異例な事態であります。    私は、青島知事に対し、都職員十九万人が安心して働き、「住民福祉サービスの向上」をめざすために、勧告給料表の早期完全実施、年度内清算をはじめ、特別給の増額分については、期末手当として改善するよう提案すると共に、今後も、労使交渉で自主的解決するために全力を挙げるべきだと強く要求致しますが、この際知事の決意を伺っておきます。 二 平和行政について   次に、都の平和施策について、平和祈念館の建設に関連して三点質問いたします。   周知のとおり、平成五年六月に「東京都平和祈念館基本構想懇談会」から平和祈念館についての基本構想が示されました。この基本構想の中で「平和祈念館は、東京空襲の犠牲者を悼み、戦争の惨禍を次代に語り継ぐとともに、都民の平和への願いを世界に向けて発信するための重要な施設である」ことが明示されています。   一時凍結された平和祈念館の建設は、その後「とうきょうプラン’95」に於て改めて計画事業とされ、「生活都市東京構想」においても平和祈念館を進めることが決定されました。   平成八年三月の予算特別委員会で私はいわゆる青島カラーとは何かを問い、その際、大岡昇平氏の著作「野火」を引用し「平和の尊さと戦争のむごたらしさを幾世代にも語り部のように語り継いでゆく責任が都政にある」ことを強調し、青島知事が毅然としてこの立場にたって積極的に平和施策を推進するよう求め、これをいわゆる青島カラーにすべきだと提案しました。青島知事も全面的な賛意を表明し今日に至っております。   現在、「平和祈念館建設委員会」で建設推進に向けて検討が行われ、さまざま意見が交わされていると聞きます。   戦後五十二年を経過し、都民の意識の中で、空襲や戦争の記憶が薄れ、平和に対する積極的な目的意識も徐々に風化しつつあるのではないかと思えなくもない中で、平和祈念館を着実且つ早期に完成させることは、都民の願いであり都政の重要課題であります。  1 この観点から、まず、平成八年三月予算特別委員会で、私の質問に答えて、知事が明らかにされた、都政における平和施策推進についての基本的な考えをふまえた、平和祈念館建設に対する認識は、いささかも変わっていないとうけとめてよいか。  2 更に、厳しい財政状況下にあっても、平和祈念館建設推進の姿勢を堅持すべきであると考えるが、夫々知事の所見を伺います。  3 又、基本構想によれば、平和祈念館の事業内容は「資料の展示」「資料・情報の収集提供、普及活動」などを通じて「都民とともに平和について学び、考える場として巾広く深い機能を持つもの」であることが示され、展示の内容も「戦争による惨禍だけでなく、差別、抑圧、貧困、環境破壊など、今日、都市の平和を脅かす諸問題についてもとりあげることが必要だ」とされ、都議会もこの基本構想の理念を確認しています。    現在、検討されている平和祈念館建設に係る議論は、このような基本構想の理念を実現する方向に沿うべきであることは当然であります。従って、生活文化局は、この立場で積極的な努力を払うべきと思うが見解を問います。 三 私学助成について   次に、私学助成に関連して何点か伺います。  1 現在、都は財政健全化計画に沿って私学助成を削減しようとしています。改めて指摘するまでもなく、小・中・高一貫した都の学校教育行政を考えるとき、今日まで果たしてきた私学関係者各位の努力は並々ならぬものがあり私学が担ってきた役割を軽視すべきではありません。    また、平成九年度の初年度納付金は全日制私立高校が七十八万七百五十五円、全日制都立高校が十万四千四百円であり、全日制私立高校一人当りに使われる公費は三十三万円、都立高校生徒一人当りに使われる公費は百四十一万円であることをみても、私学助成を削減の対象にするのは問題なしとしません。    今回の削減策は真に止むを得ないものであるのかどうか。又、私学関係者の理解と協力が必要不可欠であると思うが、具体的にどのように対応するのか。知事並びに関係局長に夫々お考えをお聞きします。  2 言うまでもなく、助成金の財源は「税金」であります。従って、私学助成拡充と併行して重視されるべきは、学校の財務の公開であることは論を待ちません。    都議会も含め都政全般に亘って徹底した情報公開、情報開示が求められている折、受益者に対する情報公開と説明責任を徹底し、透明度を高めることは何よりも大切であります。    埼玉県では、教職員・保護者に財務状況を公開した学校には多くの補助金が出るという制度を採用しており、本年十一月に都議会に都でも同様内容の制度化を求める請願が出されていることからも、都が受益者に対し、公費の使途に公明正大さに併わせ厳しいチェックを求めることはけだし当然であります。    この立場から総務局長に何点か伺います。   ア 第一に、都は自主的に「財務公開」するよう関係者を指導していると聞きますが、実効は上がっているのでしょうか。   イ 第二に、何の効果も上がっていないのであれば「財務公開」を評価項目(各校に対する査定)に導入するなどの対策が必要であるとの意見はもっともだと思うがどうか。   ウ 第三に、現在、私学の公文書開示では「貸借対照表」「借入金」「収支の合計金額」「大項目の内訳科目とその金額」が非開示になっているが、あえて非開示にしなければならないこともないと思うが非開示にしているのは何故か。その理由を説明されたい。   エ 第四に、私学政策の基本となる以下の資料の公開が求められているが、所見を伺う。    a 私学に対する補助金一覧表    b 私学の本務教職員数の標準教職員数に対する割合    c 私学の学則定数と募集定数の学校一覧    d 学級定員を何人として募集しているかがわかる学校一覧    e 財務公開している学校一覧  3 最後に、助成金の各校への配分に当って、当該学校の評価係数(査定)が極めて大きな影響を与えることをふまえ二点お尋ねします。    まず、今年度から、評価項目の中で「学級規模の改善」の項が消えたのは何故なる理由によるものか。この項は四十人学級の実現に大きな影響を与えてきたが、現在私立高校では四十人学級で経営している学校は全体の三分の一に過ぎない現状にてらし妥当とは思えないがどうか。  4 しかも、本年五月に「四十人学級実現を推進するため、評価項目と評価方法を更に改善すること」が都議会で趣旨採択されているが、この項目の削除はこの採択をないがしろにし、後退させるものとの批判もあるがどうか。夫々見解をお示し頂きたい。  5 また、改訂された評価項目では「基準より高い学校に配分」というように「基準」より高いか低いかによって査定されることになったが、そうであるならその「基準」が非公開になっているのは不当のそしりをまぬかれず、公開を前提にしなければならないと思うが総務局長に所見をお聞きしたい。 四 市場行政について   次に、市場行政に関連して何点かお聞きします。   今日、中央卸売市場業者の扱い高は、歯止めない消費需要の落ち込み等の市況を反映し、近年における史上最低水準を更新しつつあります。なかでも都民の食生活に最も貢献している青果部門の場合、十月以降、過去に例のない販売不振をつづけており、しかも回復の兆しが皆無の様相を呈し始めています。   平成十年三月期の青果部卸売業者の決算は全国規模で六割近く、東京市場でも約半数が「営業」「経常」両面で損失計上がさけられない見通しであると聞きます。仲卸業者を含む多数の青果市場業が経営破綻、倒産の危機に瀕している、という訴えも私の耳に届いております。   当然のことながら開設者である都は、このような業界の実状を十分把握しているはずだ、との前提に立ち、且つ、いくつかの問題提起と合わせ、都の考えを質したいと思います。   都は過般、市場使用料の見直しを市場各業界に提案致しました。その際に、市場会計の現状という「資料」を示し、その中で平成七「九年度三カ年に収益的収支で累積欠損金が百十億円生ずる。更に、平成十」十二年度の間に百十四億円の赤字積み増しが見込まれる。加えて、平成十七年度までに施設整備費が約二千二百億円が必要になってくると説明し、これらが使用料見直しの理由であると力説しました。   そこでこうした経過を見すえ、この際市場長にいくつか質問いたします。  1 都が公表した「資料」によると、平成七~九年度三カ年の営業費用に占める「管理・業務費」は合計三百八十七億円、七年度の同経費百二十四億円に対し、九年度の同経費予定額は百三十七億円でありますから、丸二年の間に約一〇パーセント、十三億円という大幅な伸びを予定しております。市場業者を含め民間企業であれば、まず「削減」と「合理化」の対象になる経費部分が、市場会計では逆に膨らむというのは何故でしょう。特に、八年度と比べ十一億円も積み増しされた九年度の同経費の異常な伸び率は不可解であります。増額された項目別経費の内訳を教えていただきたい。  2 平成十年から十二年に至る「財政収支見通し」でも説明不十分な経費の増額がみられます。この期間中の管理・業務経費は、一括「四百三億円」が計上されています。しかし、この数字は七~九年度中の同じ経費と比較して、十六億円の支出増となります。管理・業務経費が単年度平均五億円余も着々と増え続ける収支計画について道理のある説明をしなければ市場当局が言う、経常努力や効率的な市場運営への取り組みが収益的支出のどこにも見えないという批判が市場業界からでるのは当然であります。市場使用料見直しについて業界の反発の激しい折、管理・業務費(実際は管理費)の増額の根拠と理由は何なのか。市場当局が強調する経営努力はこの収支見通しのどの部分にどう効果させているのか、この二点について具体的且つ明確に答えなければなりません。夫々詳しくお答えいただきたい。  3 又、当初、平成十七年度までの施設整備費を約二千二百億円と弾き出していたものを十二月十日開催の都議会本会議で一般質問に対し、市場長は二千五百億円と答弁、いとも簡単に事実上三百億円更なる上積みを公けにしました。これでは市場業界の不信は増巾するばかりであります。一体二千億円をこえる巨額の施設整備費を見積もった根拠は何か。当該市場別事業内容や年次毎計画とあわせご説明頂きたい。  4 最後に「市場当局自ら断行すべき積極的な赤字解消策を含め内部努力の成果を何一つ業界に示すことなく、その上、具体的な裏づけも丁寧な説明も省き、唯々、赤字見込み額(十~十二年度)を、使用料見直しの材料に用いる姿勢に怒りをおぼえる。体力の限界まで合理化を進め、窮状打開へ日々必死に汗する市場業者の心情を汲みとり業界をとりまく最悪の現状を直視するならば、使用料の見直しなど提案できないはずだ」これが市場各業界の共通する大きな疑問であります。この疑問にどう答える所存か。今日の市場情勢をみるに、まずは市場流通再生に向け、官民の英知を総結集し、両者が強固に一体化した大いなる協調への努力が先決と考えるがどうか。知事並びに市場長の誠意ある回答を求めるものであります。      ………………………………… 平成九年第四回都議会定例会    藤田十四三議員の文書質問に対する答弁書 質問事項  一 財政健全化計画と行財政改革について   1 「財政健全化計画実施案」による施策の見直しについて、議会並びに福祉関係団体から都に寄せられている声をどのように受け止めているのか伺う。 回  答   「財政健全化計画実施案」による施策見直しに対して、さまざまな御意見が寄せられています。   施策の総点検は、新しい時代の要請に即して、より一層都民に役立つよう根本的に転換し、再構築していくための取組です。福祉施策についても、こうした考えに基づき、再構築を目指しています。   今後とも議会や都民の皆様の御意見をいただきながら、平成十年度予算の編成に取り組んでいきます。 質問事項  一の2 「民間福祉施設職員給与公私格差是正事業」の根本的見直しに対し、職員の反対活動が広がっているが、理解と協力を得るための具体的努力について伺う。 回  答   介護保険法の成立や保育所を中心とした児童福祉法の改正など、社会福祉施設をめぐる環境が大きく変化しつつあります。   このため、都の民間福祉施設に対する支援についても、社会の変化へ的確に対応できるよう、見直すものは見直し、充実すべきものは充実し、再構築を行う必要があります。   公私格差是正事業についても、民間福祉施設が、社会の変化へ対応した事業展開を進められるよう、自主的かつ柔軟な運営が可能となる制度に改めることとしました。   実施に当たっては、関係者の理解が得られるよう、様々な機会をとらえ、努力をしていきます。 質問事項  一の3 臨海部開発の見直しと投資的経費のさらなる見直しは、避けて通れないという認識だが、見直し案以外は一歩も引けないのか、もう一度洗いなおし議会とともに見直しする意思があるのか伺う。
    回  答   臨海副都心開発については、社会経済状況の変化を踏まえて総合的な見直しを行い、昨年三月、「臨海副都心まちづくり推進計画」を策定しました。   この計画の策定に当たっては、厳しい財政状況の中、開発利益の還元方式を堅持し、一般財源の負担を軽減しながら、長期的な財政収支の均衡を図ったところです。また、臨海副都心開発が大規模かつ長期にわたる事業であることから、社会経済状況の変化に柔軟に対応できるよう、段階的に開発を進めていくとともに、おおむね五年ごとに必要に応じて開発の内容を見直すこととしています。   今後は、この推進計画に基づき、用地の処分や広域交通基盤の整備など、開発を着実に推進していきます。 質問事項  一の4 勧告給料表の早期完全実施、年度内清算をはじめ、特別給の増額分については、期末手当として改善するように提案するとともに、今後も労使で自主的解決するため全力を挙げるべきだが、知事の決意を伺う。 回  答   職員のベア及び特別給の取扱いについては、人事委員会勧告を基本的に尊重しつつ、国・他団体の動向、都を取り巻く極めて厳しい社会情勢や深刻な都財政の状況など、諸状況を総合的に勘案し、慎重に検討する必要があると考えており、職員団体と鋭意協議しているところです。 質問事項  二 平和行政について   1 平成八年三月の予算特別委員会で知事が明らかにした、平和施策推進についての基本的考えを踏まえた、平和祈念館建設に対する認識は、変わっていないと受け止めてよいか、所見を伺う。 回  答   平和は、すべての都民の願いであり、人類共通の目標であります。また、人類にとって最も重要なことは、平和な世界の実現であるという認識を持っています。   東京都平和祈念館は、戦争の惨禍を語り継ぐとともに、平和について学び考え、また、都民の平和への願いを世界に向けて発進する拠点施設として建設するものです。 質問事項  二の2 厳しい財政状況下にあっても、平和祈念館建設推進の姿勢を堅持すべきと考えるが、所見を伺う。 回  答   戦後五十二年を経過した今日、都民の空襲や戦争の記憶も徐々に風化し、貴重な資料も年々散逸している状況となっていますので、都が平和祈念館の早期建設に取り組むことは、極めて重要なことと考えています。厳しい財政状況ではありますが、事業の着実な推進に努めていきます。 質問事項  二の3 平和祈念館建設にかかる議論は、平成五年六月の「東京都平和記念館基本構想懇談会」の理念を実現する方向に沿うべきと考えるが、見解を伺う。 回  答   平和祈念館につきましては、学識経験者と都議会議員で構成された東京都平和記念館基本構想懇談会の報告におきまして、その基本的な性格として、東京空襲の犠牲者を悼み、都民の戦争体験を継承すること、平和を学び、考えること、東京の平和のシンボルであること、さらに、平和に関する情報センターとすることとなっています。   現在、学識経験者、都議会議員及び公募委員で構成する東京都平和祈念館(仮称)建設委員会や都議会等の意見をいただきながら進めております。今後とも、東京都平和記念館基本構想懇談会報告の理念を踏まえて幅広く意見を聴きながら、十分検討を重ねて、平和祈念館建設の具体化に取り組んでいきます。 質問事項  三 私学助成について   1 私学助成を削減しようとしているが、削減策は真に止むを得ないのか、また、私学関係者の理解と協力が必要不可欠だが、具体的にどのように対応するのか、見解を伺う。 回  答   私立学校は、独自の校風や教育理念を通じて、特色ある教育を実践し、公立学校とともに公教育の一翼を担うことにより、都民の信頼と評価を得ています。   このような私立学校の公教育に果たしている役割の重要性を踏まえ、都は、これまで私学助成の充実に努めてきました。   一方、都は、現下の厳しい財政状況を克服し、新たな都民ニーズに的確に対応していくことのできる財政体質を確立するため、すべての施策について総点検を行っているところです。   私立学校経常費補助についても、私立学校が公教育に果たしている役割を十分踏まえるとともに、議会をはじめ、関係者の方々の御意見を参考にしながら、見直しを行っています。 質問事項  三の2 私学助成拡充と情報公開について     ア 都は、自主的に「財務公開」するよう関係者を指導していると聞くが、実効は上がっているか伺う。 回  答   個々の私立学校については、その財政状況の公開が法律上義務づけられていないので、公開するか否かは当該学校法人がそれぞれの実情に応じて、自主的に判断すべきものと考えています。   このため、私学団体の理事長・校長会等の場を通じて、時代の流れに即して自主的に公開するよう指導してきたところですが、今後とも指導に努めていきます。 質問事項  三の2のイ 効果が上がっていないのであれば、「財務公開」を評価項目(各校に対する査定)に導入するなどの対策が必要と思うがどうか。 回  答   各学校の財務状況の公開については、当該学校法人が自主的に判断すべきものですが、公教育の一翼を担う私立学校に経常費補助金が交付されている点を考慮すると、可能な限り財務状況が明らかにされることが望ましいと考えます。 質問事項  三の2のウ 現在、私学の公文書開示では「貸借対照表」「借入金」「収支の合計金額」「大科目の内訳科目とその金額」が非開示になっているが、その理由を伺う。 回  答   御指摘の文書を非開示としている理由は、東京都公文書の開示等に関する条例第九条第三号の「当該法人等又は当該事業を営む個人の競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められるもの」(いわゆる事業活動情報)に該当すると判断されることによります。 質問事項  三の2のエ 私学政策の基本となる以下の資料の公開が求められているが、所見を伺う。       a 私学に対する補助金一覧表 回  答   補助金の交付額については、額の確定後に開示しています。 質問事項  三の2のエのb 私学の本務教職員数の標準教職員数に対する割合の公開についての所見を伺う。 回  答   各私立学校における本務教職員数の標準教職員数に対する割合は、補助金算定上の数値であり、公表を目的として学校から得ている情報ではないために開示していません。   また、本務教職員とその他の教職員の具体的な配置については、学校経営の問題であり、東京都公文書の開示等に関する条例第九条第三号のいわゆる事業活動情報に該当するものと考えています。 質問事項  三の2のエのc 私学の学則定員と募集定員の学校一覧の公開についての所見を伺う。 回  答   私学の学則定員については、都が毎年度発行している「東京都私立学校名簿」に記載し、公表しています。   また、募集人員についても、毎年十月上旬に発表している、中学校・高等学校の入学者選抜実施要項の中で、選抜日や試験科目等とともに公表しています。 質問事項  三の2のエのd 学級定員を何人として募集しているかがわかる学校一覧の公開についての所見を伺う。 回  答   毎年十月上旬に、中学校・高等学校の入学者選抜実施要項を発表していますが、学級定員を何人として募集しているかについては調査していません。 質問事項  三の2のエのe 財務公開している学校一覧の公開についての所見を伺う。 回  答   各私立学校の財務公開については、法律上義務づけられておらず、また報告義務もないため、当該情報は把握していません。 質問事項  三の3 今年度から評価項目のなかで、「学級規模の改善」が消えた理由を伺う。また、私立高校では四十人学級で経営している学校は、三分の一に過ぎない現状に照らし妥当とは思えないが、どうか。 回  答   これまでの相対評価は、その特徴として、他校の動向の影響を受け、自校の努力が必ずしも評価に反映されるとは限らないという性質があったため、補正評価を設けて、この矛盾を補ってきました。   これに対して、平成九年度から実施した評価方法は、絶対評価により個々の学校の改善努力が的確に評価に反映できるため、補正評価の必要性はなくなりました。   したがって、「学級規模の改善」をはじめとする補正評価については、基本評価さらには特別補助ともその趣旨が重複しているため、これを整理して、基本評価に一本化したものです。   なお、四十人学級編成推進補助については、特別補助の単価増を行い、その推進に努めています。 質問事項  三の4 本年五月に「四十人学級実現を推進するため、評価項目と評価方法をさらに改善すること」が都議会で趣旨採択されているが、「学級規模の改善」の削除は、採択をないがしろにし後退させるとの批判があるが、見解を伺う。 回  答   今回の評価方法の変更については、各学校が自ら努力目標をたてやすくするとともに、その改善努力に報いることができるようにしたものです。   このため、評価の趣旨が重複する補正評価を基本評価に一本化しましたが、四十人学級編成推進補助については、特別補助の単価増を行い、採択の趣旨を生かしたところです。 質問事項  三の5 改定された評価項目では、「基準より高い学校」に配分となっているが、「基準」が非公開になっているのは不当のそしりを免れない。公開を前提とすべきだが、所見を伺う。 回  答   具体的に評価を行う項目及び方法については公開しておりますが、基準そのものを公開することにより、例えば、基準までは授業料を値上げしても評価に影響がないとの考えから授業料の値上げを行うなど、私学助成の円滑な目的達成に支障が生じるおそれがあります。   したがって、基準については、東京都公文書の開示等に関する条例第九条第八号に規定するいわゆる行政運営情報に該当すると判断されるので、公開していません。   なお、基準設定の考え方については、学種ごとの平均値や目標数値等に基づいて行っていることを、説明会等においてお知らせしています。 質問事項  四 市場行政について   1 平成七~九年度の営業費用を占める「管理・業務費」は、二年間で十三億円という大幅な伸びを予定しているが、削減と合理化の対象となるべき経費部分が市場会計で増えているのはなぜか、また、九年度の増額された項目別経費の内訳を伺う。 回  答   市場財政の現状で示した営業費用に占める「管理・業務費」は、平成七年度及び八年度は実績である決算の額であり、九年度は見積りである予算の額となっています。御指摘の予算額(九年度)と決算額(七年度)に十三億円の差が生じているのは、経費の節約、予定価格と契約額の差などによるものです。   九年度予算と八年度決算を比較して主に増額している項目としては、管理費のうち、清掃委託、電気・水道料等の光熱水費などの施設管理費が七億六千万円の増、建物や設備の維持管理・補修のための営繕費が三億六千万円の増となっています。また、業務費は五千万円の増となっています。   なお、管理・業務費の九年度と八年度を予算ベースで比べますと、逆に五億七千万円の減となっています。 質問事項  四の2 平成十~十二年に至る「財政収支見直し」でも、説明不十分な経費の増減が見られるが、この期間中の「管理・業務費」(実際は管理費)の増額の根拠と理由は何か、また経営努力はどの部分なのか伺う。 回  答   平成十~十二年度と平成七~九年度各三年間の管理・業務費を比較しますと、金額で十六億円、率にして四%の増となっています。   平成十~十二年度は、九年度予算をベースにした三か年の見通しで推計しているのに対し、平成七~九年度のうち七~八年度は決算額ですので、その差額が御指摘の十六億円となって生じています。   この差額については、管理費の中の施設管理費や営繕費の増が主な内容となっています。   なお、経営努力については、施策の総点検などを踏まえ、管理費のうち大きなウェートを占める施設管理や修繕などに要する経費の節減に取り組むことによって、平成十~十二年度の管理費について、三年間で総額六億円の圧縮を図ることとしています。
    質問事項  四の3 二千億円を超える巨額の施設整備費を見積もった根拠は何か、当該市場別事業内容や年次計画とあわせて伺う。 回  答   約二千五百億円の施設整備費についてのおたずねですが、これは、平成八年度から十七年度までの第六次卸売市場整備計画期間中の総事業費です。   その内訳としましては、平成十年度に基本設計を実施する築地市場の再整備を始め、平成十四年度の竣工を予定している食肉市場の北側棟建設、十三年度の竣工を予定している世田谷市場の花き部建設、その他の市場の耐震補強工事や立体駐車場の整備などに要する事業費です。 質問事項  四の4 業界を取り巻く最悪の現状を直視すれば、使用料の見直しなど提案できないはずであり、市場流通再生に向け、英知を総結集し、両者が強固に一体化した大いなる協調への努力が先決と考えるがどうか。回答を求める。 回  答   今日の卸売市場は、景気の低迷や消費需要の停滞が続く中で、非常に厳しい環境の中に置かれています。   こうした中で、都民の台所を預かる卸売市場を維持、発展させるためには、行政と市場関係者が一致協力し、この難局に取り組むことが必要であります。このため、常日頃から業界団体と十分論議を尽くさせるような機会を持つことが必要であると考えています。   現在、市場関係業者の経営体質の強化について、業界団体や学識経験者と研究の場を持ち検討していますが、今後とも使用料などの財政問題や築地市場の整備も含め中央卸売市場のあり方について率直に話し合い、より一層信頼関係を深めていきます。      ───────────── 平成九年第四回都議会定例会    文書質問趣意書              提出者 くぼた 光 質問事項  一 固定資産税について 一 固定資産税について   長引く不況の影響は深刻で、港区内のある商店主は「店の売り上げはかつての六割しかない」と、あるビルのオーナーは「かつては坪当たり四万円で貸すことができたが、今では一万円でも借り手がいない。借金の返済などで生活するにもままならない」と先行きの不安を語っておられました。そしてともに、「すべてが減収になっている中で固定資産税の負担がいっそう重くのしかかってきている。固定資産税によって住み慣れたまちから追い出される」と話されました。七十年にわたり浜松町で商売をしている日本そば屋さんは「三十四坪で固定資産税が五百二十八万円。まじめに働く者が払えないほどの高い固定資産税はおかしい」と訴えておられます。とりわけ一階で商売、二から四階まで貸し床、五階に居住というような住宅の軽減措置が適用とならない方の場合は、過重な税負担となっています。どうして大手企業が周囲の土地の地上げをし、地価をつりあげたツケを、都心の中で懸命にがんばっている庶民が負わなければならないのでしょうか。今年は、三年ぶりの固定資産税の評価替えの年でした。今年の評価替えで港区の土地の評価は、私の知る範囲で、三年前に比べて五割から八割にさがっているにもかかわらず、固定資産税は最大でも一割程度下がっているだけ、逆に引き上がっている事例さえあります。虎ノ門では約五十坪の土地評価が三年前に比べて六割近くも下落したのに、課税額は七百十九万円と変わらないという例もありました。これでは、重い固定資産税の負担に苦しんでいる都心に住む納税者のほとんどが、土地の評価の仕方、税額に納得できないのは当然ではないでしょうか。千代田・中央・港・新宿・渋谷と都心五区だけで、全都八百四十七件の不服審査申出の七割を占めていることからも、とりわけ都心において大きな問題、不満になっていることは明らかです。   港区でも、三年前の固定資産税の評価替えの時に不服審査申出をされた方々が中心となって「高い固定資産税から営業と住まいを守る会」(以下、守る会)が結成され、土地・家屋あわせて百二十五件の不服審査申出が行われました。申出の割合は全都の申出件数の一四・八%になっています。多くの方が知恵を出し合い力をあわせてゆくこと、全体との関わりの中で土地評価の合理性を検証してゆくことは非常に意味のあることだと思います。   これら申出にあたっては、申出人に対して納得のゆく審査が、迅速にしかも合理的に行われるのは当然のことではないでしょうか。その点に関連して質問を致します。  1 一方的に賦課される固定資産税だからこそ、地方税法四百二十三条において固定資産評価審査委員会の設置が決められています。つまり、同じ行政不服審査の中でも第三者機関を置き、同四百三十三条にあるようにその審査の手続きも口頭審理を公開で行うなど納税者の主権が貫かれるようなしくみが目指されています。従って体制でも内容においても、その趣旨が充分に生かされるような審査委員会でなければならないのです。    先日の口頭審理の場では、申出人から審査委員に対する忌避の申し立てがありました。その理由は、第一に、たまたまとはいうものの、前回不服審査申出案件に棄却を下した委員が今回も担当になったこと。第二に主税局をはじめ、部長級以上の東京都職員退職者が委員に含まれていたこと、でした。申出人にしてみれば、これで公正・中立な審査ができるのか疑義が生じたからでした。このように申出人から疑義が生じないような委員配置、部会配置であるべきと考えますが見解を示していただきたい。  2 次に審査委員会の日程のあり方についての見解をお尋ねします。    守る会として口頭審査を申し出た百二十五件に対し、示された口頭審理の予定は、本年十月末から来年一月末にかけてほぼ一週間ごとに開催され、一回一時間半の間に十一件から二十件と一件当たりにすると約五分から八分程度の時間しかとられていないというものでした。この間そういった中で、申出人が効率的に審査が進むよう代表的な事案にしぼって審査する方法をとっても、多くを積み残したまま次の事案に移ってゆく事態になっています。また、こういった日程のため、評価庁も準備ができないと思われ、求釈明申し立てに対する回答書が提出されるのは審理開催日のわずか一週間前となっています。これでは申出人が回答書をもとに意見を述べるための調査や検討の時間が充分保障されているとは言えません。現にこれまでに守る会独自で実地調査ができた申出事案の内、審査委員会より送付された評価計算書に現れない問題点のあると思われるものが十一件も見つかっています。申出人が充分準備でき、充分な意見陳述や質疑ができるような審理日程ではないため、申出人の不信感は強まっています。    このような状況であることから納税者の権利擁護、充分な審理となり得ていないと考えますが見解をうかがいます。  3 来年度、土地価格の下落に伴う評価替えが予想されることから、年度内に申し立てに対する決定を下そうとする事情は理解しますが、それを以て口頭審理を不充分なままにしてはならないはずです。こういった問題のひとつの解決方法は、審査委員の定数を法定限度以内で申し立て件数に応じて増やすことであると考えますが見解を求めます。  4 今回の不服審査申出の提出に当たっては、都税事務所窓口において固定資産税の税額に対して不服のあるときは「固定資産税賦課処分に対する審査請求書」を都知事に対して提出するよう、とりわけ強調した指導がされました。この行政不服審査法に基づく不服申立てについて守る会では三十二件の申立てをしましたが、現在までに一件の回答もないどころか弁明書すら届いていないとのことです。「評価額が下がっているのに税額が下がらない」ということこそ納税者の大きな不満であり、この点の見解をいち早く申立人に示すことは評価庁、処分庁としての責務ではないでしょうか。窓口で強調した指導をしておきながら未だに「なしのつぶて」であるのは極めて不適切かつ納税者の権利を侵害しています。    申請がこのようなテンポで扱われていては、予想される来年度の評価替え以前に弁明書にもとづく申請者の調査・反論の期間が実質的に限られたものになるとともに、不服の内容が次回の賦課処分に反映される余地さえ奪うことになると考えますが、見解を求めます。  5 そもそもこういった申し立てが法で予期した以上に出されているのは、土地基本法にもとづく自治省通達によって固定資産税の評価額が公示価格の七割まで引き上げられたことに根本的な原因があります。多くの都民の世論と運動によって激変緩和の措置がとられ、これによる固定資産税の急激な引き上げには歯止めがかけられたといわれるものの、地価が下がっているのに固定資産税は横這いか上昇などと、都民が納得できない事態は変わりありません。とりわけ港区のような都心の居住者にとって固定資産税の重い負担は、その生活すら脅かすものになっているのです。また、都心区の定住人口確保に逆流をつくりだしています。長引く不況がそれらに追い打ちをかけている今、一刻も早い対応が必要です。    暫定措置である負担調整措置の導入は税額の算定をいっそうわかりにくくし、本来簡素であるべき税のあり方を歪めるものになっています。今こそ抜本的にメスを入れるときです。固定資産税の七割評価を改め、評価の方法を「収益還元方式」に転換することを国に強力に求めるべきです。見解を伺います。      ………………………………… 平成九年第四回都議会定例会    くぼた光議員の文書質問に対する答弁書 質問事項  一 固定資産税について   1 固定資産評価審査委員の選任に当たっては、申出人から疑義が生じないような委員配置、部会配置であるべきと考えるが、見解を伺う。 回  答   委員は、特別区の住民、特別区税及び特別区の存する区域内で都税とされている市町村税の納税義務のある者、又は固定資産の評価に関し学識経験を有する者のうちから、適任者を議会の同意を得て知事が選任しています。   部会審理に当たっては適正な運営はもとより、公平・公正な審査決定を行っています。 質問事項  一の2 審査委員会の日程については、申立人が十分準備でき、意見陳述や質疑できるような審理日程でないため、納税者の権利擁護、十分な審理となり得ていないと考えるが、見解を伺う。 回  答   審査申出の審理に当たっては、申出理由など共通するものがある場合には申出人の同意を得た上で、複数の申出を併合して審査を行うなど、その迅速な処理に努めています。   また、口頭審理の開催に当たっては、評価庁からの答弁書を申出人に送付するとともに、それに対する反論があれば再答弁書を求めるなど、申出理由の一層の究明に努め、審理を尽くしています。これらの書面審理を行った上で事前に日程調整を行い、口頭審理を開催しています。   なお、口頭審理においては、申出人には委員が必要と認める範囲で意見等を陳述する機会を与えるよう配慮しているところです。 質問事項  一の3 審査委員会の口頭審理が不十分となっており、審査委員の定数を法定限度以内で申立件数に応じて増やすべきと考えるが、見解を伺う。 回  答   審査委員の定数については、組織の簡素合理化、行政の効率的運営の観点から、処理すべき事務量に見合って適宜適切な見直しを行っているところであり、今後とも、効率的な審査に努めていく方針です。 質問事項  一の4 窓口での指導により審査請求をしたが、未だに「なしのつぶて」であるのは、極めて不適切かつ納税者の権利を侵害している。不服の内容が次回の賦課処分に反映される余地さえ奪うことになると考えるが、見解を伺う。 回  答   都税事務所の窓口においては、価格に対する不服申立ては審査の申出、賦課処分に対する不服申立ては審査請求と、法の定める固定資産税の不服申立ての手続きについて説明したものです。   なお、弁明書につきましては、その作成に鋭意取り組んでいるところであり、引き続き取組を進めていきます。 質問事項  一の5 固定資産税の七割評価を改め、評価の方法を「収益還元方式」に転換することを国に強力に求めるべきだが、見解を伺う。 回  答   固定資産税にかかる土地の評価額については、地価公示価格の七割を目途として行うこととされています。この地価公示価格の算定に当たっては、収益還元法の活用を図ることとされており、部分的には、収益還元法は現行の土地評価に反映されているところです。   固定資産税の評価の方法を「収益還元方式」に転換することについては、個々の土地について将来の純収益を適切に把握することが困難であるなど、問題があるとされてきたところですが、都民に納得していただける固定資産税制を確立する観点から、引き続き研究を重ねていきます。      ───────────── 平成九年第四回都議会定例会    文書質問趣意書              提出者 和田 宗春 質問事項  一 都市計画税について  二 災害対応型給油所の普及を目指して  三 新型ウイルス対策について  四 補助八六号線の建設について 一 都市計画税について   都市計画税は、都市計画事業や土地区間整理事業などに充当する目的税であり、都市計画区域内にある土地に課される税である。   特に特別区二十三区内は、都税として徴収されてきた経緯がある。   この都市計画税は、バブル期の急激な地価高騰によって納税者に異常な負担増をもたらしたのである。   そのため軽減措置が、一九八八年度から導入され、納税者負担増を緩和してきた。   すなわち二十三区内の二百m2以下の小規模住宅地を対象として、課税評価額の半額を都が減免し、その肩代わりをしてきている。   制度導入の当初は三年間の時限を切った措置であったが、その後も継続され、今年度予算では、三百四十億円の都負担が見込まれている。   しかし、二十三区では、約七割がその対象であり、その多くが軽減措置継続を望んでいる。   更に納税団体の根気強い反対運動、また、私たち都議会民主党をはじめ都議会各会派の軽減措置継続を要求する声によって、少なくとも十年度は継続することを決断したようである。   しかしながら、問題は果てしのない長引く不況、景気の先行き不安である。   銀行、証券会社などが相次ぎ破綻し、経済情勢が厳しくなっている現状に、更に軽減措置が廃止されることになれば、都民の負担感は深刻なることは必定である。  1 そのためには、青島知事は、十年度かぎりなどという消極的な姿勢を改めて、国の景気回復、すなわちGDPが三~五%になるまで、この都市計画税軽減措置は継続していくべきであると考えるが、見解を伺う。 二 災害対応型給油所の普及を目指して   平成七年一月十七日の阪神淡路大震災は、我が国最大の被害をもたらし、東京都をはじめとする巨大化、複雑化する現代都市にひとたび災害が起こった時の恐ろしさを我々に教訓としている。   中でも特に、電気、水道といったライフラインが寸断されたことによって、救急活動への影響が被害拡大の要因の大きな一つになっていたという事実がある。   災害に強いライフラインの構築が必要であり、また、仮に寸断されても救急活動が円滑に行われる体制づくりが早急に求められている。   今年、防災の日(九月一日)を前にして、「東京における直下地震の被害想定に関する調査報告書」が公表されたが、阪神大震災規模の区部直下型地震が起きた場合、震度六強の震度で、死者七千百五十九人、負傷者十五万人以上が推定されるとしている。   震災から一人でも多くの生命を守る為には、都政は、あらゆる手段・方法を駆使して努力していかなければならない。   そこで、熟慮されなければならないのは、給油所の利用・活用である。   はじめから給油所は、消防法の規制によって堅固につくられており、阪神大震災時でも甚大な被害は受けなかった実績がある。   従って、震災時には、給油所に生活・財産を守る役割が生じてくるのである。   すなわち、緊急時における警察消防などの緊急車両への優先的燃料供給、被害状況に関する警察消防への連絡、緊急時のためのガソリン、軽油の必要量の確保と提供などである。   しかし、電力供給が停止すると、給油ポンプなどの基本機能が停止する。そこで、災害対応型給油所が重要視されなければならない。この給油所は、大災害時でも、安定して石油が供給できるように、自家発電設備、すなわち太陽光発電設備、コ・ジェネレーション発電設備、及び貯水設備を備えた「災害に強い給油所」といえる。   私は、東京都内でたった一カ所である今年四月に運用開始した、この災害対応型給油所を視察した。   これらに対する国の補助は、現在、補助率、交付限度額で太陽光発電三分の一で千七百三十三万三千円、コ・ジェネ発電設備五分の一で五百万円、貯水槽五分の一で十四万円となっているが、視察してみて、都民を震災から守るこの制度の拡充を痛感した。   一方、都の各局の関わりは極めて希薄である。   そこで伺う。  1 なぜ、防災対策を所管する総務局、また省エネルギーや環境関係の環境保全局がこの制度と関連を持たないのか。  2 また、新しいこの制度を活用したいというエコサービスステーションがでてくることを歓迎すれば、国の補助に加え、都が独自の補助制度を考えるべきと思うが、どうか。
     3 更に、蓄電池の耐用年数は十年、集光パネルは二十年といわれているが、今の制度ではエコステーションの全額負担で取り替えることになっている。    国に向けてその費用の応分の負担を求めるべきと考えるが、いかがか。 三 新型ウイルス対策について   香港で今年五月に発見された新型のA型ウイルス「H5N1」が都民にも不安をもたらし始めている。   インフルエンザは、風邪の一種であるが、厚生省の人口動態統計によると、毎年百人単位で死に、多い年では千人を超えることもある。   新型ウイルスは、鶏や豚から人間に感染してくると考えられている。   今度の「H5N1」ウイルスは、いままで鳥からしか発見されていなかった。   ところが五月のインフルエンザで感染、死亡した三歳の男児から検出されたウイルスが同型であることが、今年の八月に判明した。また、四人がこのウイルスで死んでいた。  1 今年五月に発足した「新型インフルエンザ対策検討会」(座長山崎修道・国立感染症研究所長)は、十月二十四日に報告書を出している。それによると新型インフルエンザが流行すると全国民の二五%、約三千二百万人の患者がでると想定している。    したがって、死者は三万人から四万人に達し、社会的な影響も甚大になる。千二百万人が生活している東京にとっても恐ろしい数字である。   ア そこで質問であるが、東京都衛生局としては、予防の切り札はワクチンであるといわれているが、今冬の風邪の流行する一月、二月に国民・都民の需要に、ワクチン製造は間に合うと考えているのか。   イ また、製造が間に合わなかった場合、限られているワクチンをどのような優先順位で接種していくべきと考えているのか。  2 また、毎年決まったように、冬にはインフルエンザによる死者が出るのだから、ワクチンの製造量を確保しておく必要がある。    したがって、国との連携を図って監視体制をつくるべきと考えるが、どうか。  3 また、鶏肉による過剰な不安を除くためにも、正確な情報の収集・提供に心すべきと思うがどうか。  4 都民が予防医学的な努力をするとすれば、どのような手段があるのか。 四 補助八六号線の建設について   補助八六号線は、昭和二十一年四月に都市計画決定されており、起点は赤羽西五丁目から終点は志茂一丁目である。また、幅員は二十~二十三mで、その延長は約一・二kmである。   現在、北区は仮称赤羽自然観察公園(五・四ha)を建設中であり、平成十一年の暫定開園を予定している。   この公園の有効利用を考えると、補助八六号線は、赤羽駅から住民が利用する際の重要な路線であることは言を待たない。   特に補助七三号線と補助八五号線の間の早急の着工、完成が望まれている。  1 したがって、東京都は公園開設に歩調を合わせるように補助八六号線の事業着手を急ぐべきであると考えるが、どうか。      ………………………………… 平成九年第四回都議会定例会    和田宗春議員の文書質問に対する答弁書 質問事項  一 都市計画税について   1 都市計画税の軽減措置については、平成十年度限りではなく、国の景気回復、即ちGDPが三~五パーセントになるまで、継続すべきと考えるが、見解を伺う。 回  答   小規模住宅用地にかかる都市計画税の軽減措置につきましては、納税者の税負担感にも配慮して、平成十年度は現行の軽減措置を継続していきたいと考えています。   しかしながら、小規模住宅用地につきましては、既に平成六年度からその課税標準を評価額の三分の一とする特例が措置されている等から、見直しが必要な状況にあると考えています。   なお、平成十一年度以降の都市計画税の軽減措置につきましては、財政状況等も勘案しながら、新たな視点から検討していきます。 質問事項  二 災害対応型給油所の普及を目指して   1 災害対応型給油所に対し国の補助制度があるが、なぜ、防災対策を所管する総務局、省エネルギーや環境関係の環境保全局が、この制度と関連をもたないか伺う。 回  答   太陽光発電等を導入した「災害対応型給油所」の普及事業は、阪神・淡路大震災の経験を踏まえ、災害時においても石油製品の継続的供給ができるよう、給油所の構造改善を図る一環として、国が平成八年度に創設した事業です。   この事業に関して、都は、補助対象地区の選定にかかる資料を国へ提供するほか、広報用ポスターやパンフレットを区市町村へ配布するなど、「災害対応型給油所」の普及に努めています。   なお、太陽光発電やコ・ジェネレーションシステム等の新エネルギー・未利用エネルギーの活用については、都自ら浄水場等の都有施設に導入するなどその推進に努めています。 質問事項  二の2 新しいこの制度を活用したいというエコサービスステーションが出てくることを歓迎すれば、国の補助制度に加え、都独自の補助制度を考えるべきと思うが、どうか。 回  答   太陽光発電等を導入した「災害対応型給油所」は、災害時における必要エネルギーを確保するという点で重要でありますが、国の補助制度は、平成八年度からの事業であり、今後の普及の状況を見守っていきたいと考えています。 質問事項  二の3 今の制度では、耐用年数のきた蓄電池や集光パネルはエコステーションの全額負担で取り替えることになっているが、国にその費用の応分の負担を求めるべきと考えるが、いかがか。 回  答   エネルギー資源の有効利用という観点から新エネルギー、未利用エネルギーの積極的活用は継続して行う必要があり、今後、蓄電池や集光パネル取り替え時の補助に関する要望については、新エネルギー等の普及状況等の推移をみながら検討していきます。 質問事項  三 新型ウイルス対策について   1 新型インフルエンザが流行すると、約三千二百万人の患者が出ると想定されているが、    ア ワクチン製造は間に合うのか。 回  答   厚生省は、新型インフルエンザワクチンを製造するためのウイルスの分析を開始するなど、ワクチン製造に向けて準備を進めていると聞いています。 質問事項  三の1のイ また、間に合わなかった場合、限られたワクチンをどのような優先順位で接種していくべきと考えているのか伺う。 回  答   厚生省は、平成九年十月に発表した新型インフルエンザ対策検討会報告書の中で、ワクチン需要量が供給量を上回った場合に優先的に接種をすべき集団を、20)インフルエンザに罹患すると経過が重く、死亡率の高い集団(高齢者等)、I罹患すると重症化しやすい集団にインフルエンザを伝播する集団(医療従事者等)、IIインフルエンザに罹患することによって社会機能の麻痺を招く恐れのある集団(警察官等)、III幼児、児童の四つのグループとしています。   都としても、この考え方を踏まえた対応をすべきと考えています。 質問事項  三の2 毎年、インフルエンザワクチンの製造量を確保しておく必要がある。したがって、国との連携を図って監視体制をつくるべきだと考えるが、どうか。 回  答   現在、都は、インフルエンザ等の出現の早期把握を目的として、発生動向調査等を行っているところです。今後とも、新型インフルエンザの流行も視野に入れ、国、東京都医師会等関係機関と連携して、監視体制を強化していきます。 質問事項  三の3 鶏肉による過剰な不安を除くためにも、正確な情報の収集・提供に心すべきと思うが、どうか。 回  答   国産鶏肉については、食鳥検査制度により、鶏を処理する際に異常が認められたものは、確実に排除されています。また、輸入鶏肉についても、輸出国により同様の検査が行われており、病気のないことが証明された鶏肉のみを輸入しています。   都は、今後とも、食鳥肉の衛生管理に万全を期すとともに、国等関係機関から正確な情報を収集し、保健所等を通じて都民への情報提供を行っていきます。 質問事項  三の4 新型インフルエンザに対し、都民が予防医学的な努力をするとすればどのような手段があるのか、伺う。 回  答   厚生省の新型インフルエンザ対策検討会報告では、インフルエンザの一般的な予防方法として、20)マスクを着用する、I過労、睡眠不足を避ける、II十分な栄養や休養を取る、III手洗いを励行する、等が有効であるとしています。   都としても、これらを有効な予防方法として普及啓発に努めていきます。 質問事項  四 補助八六号線の建設について   1 都は、北区の(仮称)赤羽自然観察公園開設に歩調を合わせ、補助八六号線の事業着手を急ぐべきと考えるが、どうか。 回  答   補助八六号線は、板橋区東新町一丁目からJR赤羽駅付近を経て北区志茂一丁目に至る延長約五・九キロメートルの都市計画道路であり、現在、JR東北線及び埼京線と交差する延長約二百十五メートルの区間の事業を進めているところです。   御指摘の(仮称)赤羽自然観察公園付近の区間については、公園計画との整合を図ることや複雑な地形であることから、道路構造の検討等を実施しているところです。   今後、これらの結果を待って、地元区及び関係機関と協議しながら事業化について検討していきます。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(田中晃三君) 会期についてお諮りいたします。  今回の定例会の会期は、本日から三月二十七日までの三十一日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(田中晃三君) ご異議なしと認めます。よって、会期は、三十一日間と決定いたしました。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(田中晃三君) この際、知事より、平成十年度施政方針について発言の申し出がありますので、これを許します。  知事青島幸男君。    〔知事青島幸男君登壇〕 ◯知事(青島幸男君) 平成十年第一回都議会定例会の開会に当たり、都政に対する私の施政方針を申し述べ、都議会及び都民の皆様のご協力をお願い申し上げます。  昨年十二月十九日、名誉都民の井深大さんが、また今月五日には、同じく名誉都民の武原はんさんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。  まず初めに、先日明らかになりました都職員の不祥事について、都議会及び都民の皆様に心からおわび申し上げます。  汚職は、都民を裏切り、都政への信頼を失わせる許しがたい背信行為であります。私は、この事件を、一職員、一部局の問題ととらえるのではなく、全庁的な問題として重く受けとめ、事実関係の調査、原因の究明、再発防止策の確立に全力を挙げて取り組む決意であります。このような不祥事が二度と生ずることのないよう、一層気持ちを引き締め、都民の信頼回復に努めてまいります。  施政方針の最初に、平成十年度における都政運営の目標について申し上げます。  私が都政をお預かりしたこの三年間は、政治、経済、社会のいずれの分野においても、我が国が歴史的な転換期にあることを示す激動に見舞われた時期でした。大きな変化が進む中で、旧来の制度と行動規範は、根本から問い直されています。特に行政のあり方に対しては、国と地方を通じて国民の厳しい批判の目が注がれています。都知事に就任して以来、私は、これまでの都政の継承に十分な意を用いながら、新たな都政を展開していくこと、すなわち、継続と変革のバランスをとることを都政運営の基本姿勢としてまいりました。しかし、旧来の社会システムの行き詰まりが一層明らかになりつつある今日、都政運営の軸足を、大きく変革の側に移していかなければならないと考えます。  十年度の都政運営の目標は、第一に、これまで積み重ねてきた都政改革の努力にさらに大きな弾みをつけ、開かれた都政の実現、簡素で効率的な行財政システムへの転換、自治と分権の確立という課題で、改革の成果を確実に目に見えるものにすることです。とりわけ開かれた都政の実現に関しては、行政が持っている情報や行おうとする施策の内容を明らかにし、都民への説明責任を果たしていくことが重要です。こうした認識に立って、都民参加の機会を拡充し、開かれた都政を一層前へ進めてまいります。  第二の目標は、生活都市東京構想に基づき、都市政策のあり方を成熟社会にふさわしいものへと大胆に転換することです。  大量廃棄を前提とした社会のあり方を根本から改める循環型社会づくりを、幅広い都民やNPOの皆さんと連携する運動へと発展させてまいります。また、福祉施策に関しては、高齢者の介護と子育てを専ら家庭に依存するのではなく、しっかりと社会的に支援する新しいシステムづくりを進めていきます。さらにまちづくりでは、新たな市街地の際限のない拡大を目指すのではなく、東京の経済を支えてきた中小企業や商店街の皆さんなど、多くの都民の仕事と生活の場である既存の市街地の再生と活性化を重視してまいります。  都政の改革においても、都市政策の転換においても、大きな改革にあつれきが伴うことは避けられません。しかし、変革の目指すものが真に都民の利益にかなうものであれば、そして、社会的に弱い立場にある人々への思いを失わないものであれば、徹底した議論の積み重ねの中で、必ずや建設的な合意を生むことができると私は確信しています。この確信と決意を胸に、四年目の都政に臨んでまいります。  次に、平成十年度予算案について申し上げます。  私は、平成十年度予算を、都政の基礎を固め、東京のあすへの道筋を切り開く予算と位置づけました。金融機関の経営破綻や消費の冷え込みなど厳しい状況が続く中で、私は、十年度予算を、都民の皆さんが将来へ向けての希望を持ち続けることのできるものにしなければならないと考えました。このため、今回の予算編成に当たっては、都政の次の跳躍に備えて、まずしっかりと足元を固めるとともに、夢のある東京の実現に向け、確実な第一歩を踏み出す予算とすることに最も心を砕きました。こうした思いを込め、次の二点を平成十年度予算編成の基本方針といたしました。
     第一は、東京都財政健全化計画に盛り込まれた諸方策を確実に実行し、当面の目標を達成することによって、財政健全化に大きな区切りをつけ、強固で弾力的な財政体質の確立に向けて歩みを進めることです。第二は、財源を重点的、効率的に配分することにより、「生活都市東京の創造 重点計画」を着実に実施し、新たな施策の展開への道筋を切り開くことです。  初めに、都政の基礎を固めるための強固で弾力的な財政体質の確立について申し上げます。  平成八年に財政健全化計画を策定して以来、都は、将来にわたって都民の期待にこたえていくために避けて通ることのできない財政健全化の課題に取り組んできました。十年度の予算編成に当たって、私は、まず、スリムでむだのない執行体制の実現に向け、都みずからが徹底した内部努力を行うことに全力を尽くしました。職員定数と給与費の見直しなどを進めた結果、給与関係費は初めて前年度に比べて減少しました。また、全庁を挙げて都庁の仕事を一つ一つ見直す施策総点検を実施し、これまでにない思い切った経常経費の削減を行いました。さらに投資的経費については、九年度に引き続き削減を進め、八年度の七割の水準にまで抑制しました。削減に当たっては、コスト縮減によって事業量の確保を図るとともに、高齢社会への対応など都政の緊急課題に対する財源の重点的な配分に努めました。  このような努力の結果、財源不足の解消を将来に先送りすることなく予算編成を行うとともに、九年度に引き続き、都債発行を財政健全化計画で設定した五千億円程度の水準に抑え、抑制基調を定着させることができました。こうして財政健全化計画に基づく三年間の取り組みに区切りをつけ、十年度予算では、都民にとって最も必要な施策や、新しい行政ニーズへの対応に財源を確保することが可能となりました。  しかし、強固で弾力的な財政体質を確立するという課題は、まだ達成されたわけではありません。過去に大量発行した都債の償還が本格化することにより、今後、公債費が確実に急増していきます。その一方で、都税収入の大幅な自然増はこれからも期待することができません。私は、都民ニーズにしっかりとこたえられる都財政を築いていくという大きな課題に、引き続き取り組んでまいります。  次に、あすへの道筋を切り開くための新たな施策展開について申し上げます。  十年度予算では、都全体の施策を見直すとともに、「生活都市東京の創造 重点計画」に盛り込んだ事業を一〇〇%予算化することにより、希望と夢のある東京の実現に向けて、着実な事業展開を図りました。  第一に、少子・高齢社会への備えについては、本格的な少子高齢社会の到来に備え、必要なサービスを的確に提供できる体制の整備を進めてまいります。  特に高齢者施策については、介護保険制度が導入される十二年度までに必要なサービス量を確保していくため、積極的に予算化を図りました。在宅サービスについては、高齢者ホームヘルプサービス事業を充実させ、十一年度には二十四時間対応のサービスを全区市町村で実施できるよう、大幅に拡充してまいります。施設サービスについても、十二年度までに原則として入所待機者を解消することを目指し、特別養護老人ホーム、老人保健施設、さらに療養型病床群の整備に積極的に取り組みます。  少子化対策としては、周産期医療体制を整備するとともに、乳幼児特殊救急医療事業を拡充するなど、子どもを安心して産み育てられるよう、母子保健医療の体制を充実していきます。また、子育て家庭を支援するために、これまで三歳児未満を対象としていた医療費の助成を四歳未満まで引き上げるとともに、都独自の制度として児童手当を拡充することといたしました。さらに子どもの権利を守るための新たな施策として、子どもからの相談や権利侵害に対処する仕組みづくりを行ってまいります。  第二に、直下地震などの災害対策の推進については、まず、木造住宅密集市街地の十一の重点地区を中心に、火を出さない、火をもらわない、倒れないまちの実現を目指す防災まちづくり事業を進めていきます。また、防災対策上特に重要な避難路等を対象として都市防災不燃化促進事業などを進め、震災発生直後の防災体制を強化するとともに、震災後の迅速で計画的な東京の復興を実現するため、復興マニュアルの普及啓発を図ってまいります。  第三の重点課題は、循環型社会の形成です。  ごみの発生、排出抑制の仕組みづくりのために、東京ルールを引き続き推進していきます。また、事業者による自己回収の仕組みづくりとして先進的な意義を持つ八丈町のデポジット制度への支援を行ってまいります。  自動車公害対策としては、都バスと民間バスの低公害化を推進するなど、大型車に重点を置いた取り組みを進めるとともに、貨物自動車等を使用する事業者への窒素酸化物総量抑制の指導を強化します。  さらに、緊急の課題となっているダイオキシン類対策として、清掃工場のプラント更新や灰溶融施設の整備などを計画的に進めると同時に、市町村の取り組みへの支援、測定と分析体制の整備、母乳に与える影響への調査などを進めます。  第四に、活力とゆとりに満ちた都市づくりについては、まず、都心部に集中する業務機能の分散と通勤混雑の緩和を進めるため、地下鉄十二号線環状部や臨海高速鉄道などの整備を推進してまいります。また、都心に流入する交通の分散、交通渋滞の緩和を図るため、区部では環状方向、多摩では南北方向の道路を重点的に整備していきます。  さらに、十年度においては、新しい都市政策として、都市交通の円滑化と安全性の確保、大気汚染の改善などを図る交通需要マネジメントを東京で実施していくために、まずマイカー通勤対策や業務交通対策など五つのケースでモデル試行を行っていくこととしました。  レインボータウン、臨海副都心については、本年四月に進出事業者の第二次公募を実施するなど、都民に親しまれる新しいにぎわいの場となるよう、着実なまちづくりを進めてまいります。  住宅施策については、住宅内部の抜本的な改善を行い、建てかえまでの年数を大幅に延ばす既存都営住宅のスーパーリフォーム事業に着手し、一千戸の改修を行います。また、区市町村に対する公営住宅供給助成の充実を図るなど、住民に最も近い基礎的自治体によるきめ細かな公的住宅の供給を支援してまいります。  第五に、暮らしを支える産業の振興では、まず、中小企業振興策と制度融資との連携を強化し、効果的な産業振興を図ります。また、TOKYO起業塾の開設などにより創業を支援するとともに、ISO一四〇〇〇の取得支援や、すぐれた製品や技術の開発に対する中小企業技術大賞の創設などにより、循環型社会づくりを目指す企業活動を支援していきます。  さらに、身近な生活圏の商業集積を活性化し、にぎわいのあるまちづくりを進めるため、みずから考え提案する商店街を支援するプロポーザル方式の商店街育成事業を進めてまいります。  金融機関によるいわゆる貸し渋りへの対応として、東京信用保証協会に五十億円の貸し付けを行い、二千億円の新規融資枠を設けることにより、中小企業の資金調達の円滑化を図ります。  多摩・島しょ地域については、厳しい財政状況の中ではありますが、着実なまちづくりが進むよう努めてまいります。多摩地域における公共交通ネットワークを強化するため、多摩都市モノレールの立川北から上北台までの区間が本年中に開業するよう整備を促進します。また、道路と鉄道の連続立体交差事業などに取り組むとともに、近く策定する多摩の心しん育成・整備計画を踏まえ、職と住のバランスのとれた個性と魅力のある自立都市圏の形成を目指します。  さらに、航空需要の増大とジェット化に対応した大島空港の拡張を初め、空港の整備などに取り組み、島しょ地域の活性化を図ります。  使用料、手数料につきましては、六十五条例二規則に関し改定を行うことといたしました。改定に当たっては、都みずからの経営努力による経費の削減を図るとともに、利用者に配慮した料金体系となるようさまざまな工夫を行い、都民生活への影響を極力小さくすることに努めました。  上下水道事業については、職員定数の削減や投資水準の抑制など、可能な限りの企業努力を行うこととしました。その結果、水道事業については料金改定を見送ることができましたが、下水道事業については、なお多額の資金不足が見込まれるため、改定をお願いせざるを得ないこととなりました。今回の使用料、手数料の改定につきましては、皆様のご理解をいただけますようお願い申し上げます。  以上、平成十年度予算の主な施策などについて申し上げました。  予算規模は、一般会計で六兆六千七百五十億円、特別会計と公営企業会計を加えた都全体の予算総額は十二兆七千六百一億円となっております。一般会計の総額から公債費等を除いた一般歳出では三・九%の減となり、三年連続のマイナスとなりました。しかし、その内容は、ただ一律に削減を行ったものではありません。徹底した内部努力を初め、財政健全化へのさまざまな努力を行い、必要な分野に重点的に財源を投入することにより、スリムでめり張りのある予算になっているものと考えます。  私は、都議会並びに都民の皆さんのご理解とご協力を得て、この予算を確実に実行し、都民があすへの希望を持てるよう、生活都市東京構想の着実な実現を目指してまいります。  次に、平成九年度補正予算案について申し上げます。  この補正予算は、一千億円程度と見込まれる都税収入の落ち込みに対し、後年度の負担を増加させないように対応するとともに、いわゆる貸し渋りに対する都独自の融資制度面での緊急対策など、景気対策への適切な対応を行うことを目的として編成したものです。また、特別区財政調整会計などにおいても、所要の補正措置を講じております。  次に、都政の改革について申し上げます。  私は、これまで、平成八年三月に策定した東京都行政改革大綱に基づき、都民に身近でわかりやすい都政を目指す改革に全力で取り組んでまいりました。しかし、都政を取り巻く社会経済環境は、大綱制定当時から急速に変化しています。大手企業にまで広がった経営破綻、国の省庁再編の動き、地方分権の具体化、公務員倫理の確立を求める要請の高まりなど、社会経済の変化によって、現在の大綱に掲げる方策だけでは、時代の要請にこたえる改革の実現はもはや困難になっております。今必要なのは、これまで進めてきた簡素効率化を目指す改革の努力をさらに徹底するとともに、成熟化と分権化の時代にふさわしい行政システムの実現を目指し、新たな視点を加えた都政の改革を本格的に開始することです。  このため、私は、従来の行政改革推進本部の体制を強化することなどにより、行財政システムの見直し、情報公開の一層の推進、分権改革への対応、都民と行政の協働体制づくりという都政改革の課題に全力で取り組んでいきます。現在の行政改革大綱については、こうした取り組みにあわせて、平成十年度中に全般的な見直しを行ってまいります。  厳しい社会経済状況に対応し、財政健全化への取り組みを進めるに当たって、まず都みずからが率先してこれまで以上の徹底した内部努力を実施していくことといたしました。  このため、まず職員定数については、平成十年度に現在の行政改革大綱の計画を大きく上回る削減を行うとともに、十二年度までの三カ年で四千七百人の定数を削減することといたしました。給与費については、指定職及び管理職の平成九年度給与改定を一部凍結するとともに、特殊勤務手当の見直しや成績主義の一層の推進を図ってまいります。また、特別職給与については、来年度も五%減額を継続していきます。  さらに、外郭団体の統廃合を行い、十団体を削減するとともに、常勤役員数の一割に当たる二十ポストの削減、経営評価の結果等を踏まえた役員報酬の見直しなどを進めてまいります。  行政改革の柱の一つとして、抜本的な組織の再編整備を進めるため、このたび組織再編の基本的考え方を取りまとめました。  都政には、時代の流れの中で次々に生ずる課題を予見し、その解決に向けて迅速な取り組みを行うことが求められます。変動の激しい今日の社会において都民の負託にこたえていくためには、行政運営に企業経営の視点をも加えながら、環境変化に即応できる柔軟性と事業執行の効率性を執行体制の中に組み込んでいくことが必要です。私は、こうした観点から、都が真に果たすべき責任範囲の確立、組織の能力を最大限に発揮できる体制の確立、明確な責任と権限のもとで事業成果が明らかとなる組織の編成という三つの目標を掲げ、組織の抜本的な再編を行っていかなければならないと考えます。  基本的考え方では、これらの目標を達成するため、行政目的別に細分化された局編成の再編、戦略性、機動性重視の観点に立ったトップマネジメント補佐機能の強化、事業の目標と成果を明確にする事業本部制の導入、横断的課題への一元的対応などの基本的な方針をお示ししました。組織再編の実施に当たっては、ここに述べたような考え方を踏まえると同時に、地方分権や都区制度改革の具体化、国の省庁再編等も念頭に置いて取り組むことが必要です。私は、今回取りまとめた基本的考え方を検討の素材とし、広くご意見を伺いながら、組織の抜本的な再編を進めてまいります。  次に、自治と分権の確立について申し上げます。  都区制度改革の実現のため、私は、皆様のご支援をいただきながら、昨年末に自治大臣、今月には厚生大臣を訪ね、必要な法改正を要請してまいりました。両大臣からは、現在開会中の通常国会に関係法の改正案を提出したいというご発言をいただきました。これは、都区制度改革の実現に向けた大きな前進であります。都区制度改革は、半世紀にわたる特別区の自治権拡充運動の集大成であり、都と特別区及びそれぞれの議会、多くの区民の皆さんが悲願としてきたものであります。今後は、事務事業の移管などに関する特別区との協議等を精力的に行い、円滑な改革の実現を図ってまいります。  今月十二日に、私は、東京都地方分権推進本部を設置いたしました。分権改革を東京において大きく結実させるため、今後、都から区市町村への権限委譲も含め、東京都地方分権推進計画を策定していきます。国の地方分権推進計画の策定を間近に控え、国から地方への分権の流れを後戻りすることのない確かなものにするためには、今こそ地方自治体が主体的な取り組みを強めなければなりません。分権改革が我が国の中央集権的な行政システムに真に終止符を打つものとなるよう、積極的な取り組みを進めてまいります。  次に、都政の主な動きについて申し上げます。  初めに、循環型社会づくりについて申し上げます。  二月五日、東京都地球環境保全アクションプラン検討委員会から報告書をご提出いただきました。二酸化炭素排出量の削減に向けた新たな対策を行わなければ、二〇一〇年における東京の排出量は、基準年である一九九〇年に比べ約二四%も増加するものと見込まれています。報告書では、地球温暖化防止京都会議で決定された削減目標の達成に向け、東京が担うべき役割についてさまざまな提言をいただいています。この報告書を踏まえ、都としてのアクションプランを速やかに策定し、地球環境保全への取り組みを進めてまいります。  二月十七日には、循環型社会づくりのための行動計画素案を発表いたしました。この素案は、今後、都の事業執行に当たり、原則として再生品以外は使用しないことや、雨水の利用と浸透を一層促進していくことなど、資源・リサイクル、水の循環、エネルギー等六つの分野についての都の取り組みを示しています。同時に、循環型社会を形成していくため、都民や事業者の皆さんに取り組んでいただきたい行動についても、具体的な提案を行っています。この素案は、都民や事業者、NGO、NPOの皆さんなどと共同で、より充実した行動計画をつくり上げるためのたたき台です。たくさんのご意見をお寄せいただくことを期待しております。  昨年秋には環境パートナーシップ東京会議が、また、年末には循環型社会をめざす消費生活推進協議会が、それぞれ多くの環境団体や消費者団体、有識者の皆さんの参加を得て結成されました。また、本年五月には、世界の各都市の代表やNGOが参加するエコ・パートナーシップ東京会議を国際連合との共催で開催いたします。環境への配慮を欠く行いにより、都市と人間の未来が奪われるようなことがあってはなりません。私は、都民の皆さんと幅広く強固なパートナーシップを築き上げるさまざまな努力を重ね、環境と共生する循環型社会づくりに努めてまいります。  次に、福祉のまちづくりについて申し上げます。  一月八日、都は、ハートフル東京推進プランを策定いたしました。このプランは、東京を高齢者や障害者の皆さんにとっても住みよいまちにする、福祉のまちづくりを推進していく上で最も基本となる計画です。計画では、個々の建物だけでなく、道路や公共交通機関なども含め、地域全体がすべての都民にとって暮らしやすいものとなるよう、整備のガイドラインをつくることを定めました。また、区市町村が、駅前広場や商店街のバリアフリー化などに取り組む際に都がこれを支援する福祉のまちづくり地域支援事業を新たに開始することなど、全部で八十四の事業を掲げています。私は、この計画に基づき、すべての人が、住みなれたまちで安心して暮らせる、優しいまち東京づくりを進めてまいります。  次に、災害への備えについて申し上げます。  東京が大震災に見舞われました場合に、都民生活の再建を目指して都が各種の施策を迅速に実施することができるよう、このたび東京都生活復興マニュアルを策定いたしました。このマニュアルは、震災復興本部の設置など、復興を速やかに行うための体制を明らかにするとともに、住宅、医療・福祉・保健、教育、雇用・産業など、各分野において都民の暮らしを再建するための施策と事業を体系的に整理をいたしております。  復興に向けた行政の行動手順などを事前に整理する本格的なマニュアルの策定は、昨年五月に取りまとめた都市復興マニュアルともども、全国でも他に例を見ない試みです。私は、今年度中に、マニュアルの成果も反映させながら、地域防災計画の修正を行い、震災への備えをより強固なものとしてまいります。  最後に、首都機能移転問題について申し上げます。  去る一月十六日、国の国会等移転審議会において、移転先候補地の選定に向けた調査対象地域が決められました。移転に関する国民的な議論がほとんど行われていない中で、移転を前提とするかのような手続を進める政府のやり方は、余りに性急で一方的であるといわざるを得ません。国会において移転の決議がなされた当時とは、社会経済状況が大きく変化をしております。今求められているのは、移転がそもそも本当に必要なのかを原点に立ち返って検証することです。国民的な合意がないまま、移転に向けた手続だけを進めることは、我が国全体に無用な混乱を引き起こすだけであります。私は、引き続き、都議会の皆様と手を携えながら、首都機能移転の問題点を明らかにし、世論の喚起に努めてまいります。  平成十年が明けてからまだ二月がたったばかりです。しかし、年明けからの出来事は、ことしがまた、昨年以上に波乱の年になることを十分に予感させています。金融機関や中央省庁を巻き込んださまざまな事件の発覚は、我が国の行政の体質や企業行動のあり方に、正されなければならないゆがみがあることを浮き彫りにしております。また、子どもたちが引き起こした一連の出来事は、現在の教育や社会、家庭のあり方が、子どもたちの伸びやかな成長を可能とするものになっていないのではないかという疑問を私たちに突きつけております。  さらに、アメリカの女性動物学者たちが、その著書によって提起いたしましたいわゆる環境ホルモンの問題は、人類がみずからの生み出した化学物質により、みずからの未来を閉ざそうとしているのかもしれないという懸念を広げております。  明るい未来を取り返すために、私たちは、社会の仕組みについても、社会と環境とのかかわりについても、新しい枠組みへの転換を急がなければなりません。都政には、行政自体のあり方の見直しと、東京という巨大な都市社会の再構築に挑戦していくことが求められています。直面している課題の解決は、決して簡単なものではないでしょう。しかし、その一方で、公開と公正を求める声の高まり、よりよい都市環境を目指す市民運動の広がり、にぎわいのあるまちづくりを目指す地域からの取り組みの活発化など、困難を乗り越え、希望に満ちた東京の新しい発展を実現する条件は、確実に広がりつつあります。  私は、都民に対する説明責任に基づき、問題の所在と改革の方向を明確に示すことによって、変革のプロセスへの幅広い都民参加を実現し、協働の力による改革を進めてまいります。改めて、都議会並びに都民の皆さんのご協力をお願い申し上げます。  なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案三十四件、条例案百十六件、契約案十一件など、合わせて百七十件を提案しております。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。  以上をもちまして私の発言を終わります。 ◯議長(田中晃三君) 以上をもって知事の発言は終わりました。      ───────────── ◯議長(田中晃三君) 次に、警視総監より、都内の治安状況について発言の申し出がありますので、これを許します。  警視総監前田健治君。    〔警視総監前田健治君登壇〕 ◯警視総監(前田健治君) 都内の治安状況についてご報告いたします。  まず初めに、東京都議会の皆様には、平素から警視庁の運営の各般にわたりまして格別のご高配を賜っているところであり、ここに心から御礼を申し上げます。  さて、昨年は、重要凶悪事件の捜査を初め、暴力団、総会屋等の犯罪の徹底検挙、来日外国人犯罪の取り締まり、銃器、薬物事犯の摘発、少年非行総合対策の推進、さらには重大交通事故の防止と交通の円滑化など、数多くの重要な課題に直面いたしましたが、都民の皆様のご理解とご協力をいただきながら、警視庁の総力を挙げてこれらに取り組み、首都の治安維持と都民生活の安全確保に努めてまいりました。  以下、その状況についてご説明申し上げます。  初めに、犯罪捜査活動についてであります。  昨年の都内における刑法犯の認知件数は約二十三万六千件で、前年に比べて約三千七百件増加しており、特に、殺人や強盗等の凶悪犯罪を初め、女性をねらった通り魔事件、来日外国人による組織的な窃盗事件等が相次いで発生するなど、犯罪の凶悪化、広域化、国際化の傾向が一層顕著となったのであります。  こうした厳しい情勢のもと、当庁は、オウム真理教関連特別手配被疑者の追跡捜査に全力を傾注したほか、都民生活に著しい不安を与える凶悪犯罪や侵入窃盗犯等の検挙に重点を置いた捜査活動を推進して、昨年中に特別捜査本部を開設した重要特異事件二十一件のうち、十三件を検挙し、昭和六十四年及び平成三年に発生しました計二件の事件についても検挙いたしました。また、空き巣、事務所荒らし等の侵入窃盗については、平成年間で三番目に高い七七・一%の検挙率となっております。さらには、金融機関や深夜スーパー等を対象とした強盗事件、金融、不良債権関連事犯等、社会の耳目を集めた事件についても数多く検挙したところであります。  警視庁といたしましては、本年も引き続き第一線の警察力の充実強化を図りながら、徹底した捜査活動を推進して、都民生活の安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。  次は、暴力団対策についてであります。  現在、当庁が把握している都内の暴力団勢力は、約六百四十組織、一万五千七百人で、暴力団対策法が施行された平成四年に比べて減少しておりますが、ここ数年は横ばい状態を呈しております。こうした中で、暴力団は、依然として、けん銃発砲事件や対立抗争事件を発生させるなど、一段と武装化の傾向を強めており、また、水面下で、企業に資金源を求めて執拗に接近しているのであります。  特に、我が国最大の暴力団である山口組が、その組織力を背景に、傘下組織の多くを企業の事務所などの形態をとって都内に進出させ、企業の倒産整理や債権取り立て等に介入するとともに、在京の暴力団と資金源をめぐって対立するなど、企業活動や都民生活に多大な脅威を与えているのであります。このような情勢を踏まえ、昨年は、山口組を最重点とした暴力団犯罪の徹底取り締まり、暴力団対策法の効果的な運用、暴力団排除活動等の暴力団総合対策を強力に推進いたしました。その結果、暴力団犯罪の取り締まりにつきましては、大手企業に対する恐喝事件、不良債権の処理に絡む強制執行妨害事件や競売入札妨害事件、あるいはけん銃発砲事件、薬物事犯等で約六千三百人の暴力団員を検挙したほか、大量のけん銃や薬物を押収したのであります。とりわけ、山口組に対しましては、昨年八月末の神戸市内での山口組幹部射殺事件以降、都内においても、本事件に関連したと思料されるけん銃発砲事件が連続して発生したことから、全庁を挙げて集中取り締まりを推進し、抗争事件の防圧を図ったところであります。  また、暴力団対策法の運用については、松葉会と國粹会の二団体を指定暴力団に再度指定し、住吉会、稲川会及び極東会の三団体の指定暴力団とあわせ、都内の全暴力団構成員の約七割を規制対象として、それぞれ過去最高の二百七十二件の中止命令と十一件の再発防止命令を発出いたしました。加えて、再発防止命令違反や全国で初めて適用した中止命令違反により、暴力団幹部等を検挙し、暴力的不法行為の封じ込めに努めたのであります。  さらに、暴力団排除活動については、暴力団追放運動推進都民センターとの連携のもとに、地域、職域における幅広い追放キャンペーンを展開し、都民の暴力団排除機運を一層高めて、臨海副都心地区を中心とした排除対策の推進を初め、警視庁管内ホテル暴力団排除連絡会の発足、組事務所等の撤去、組員の組織離脱など、多くの成果を上げたのであります。中でも、企業と暴力団、総会屋等との関係遮断については、大手企業に係る利益供与事件を検挙する一方で、数多くの企業に対して積極的な働きかけを実施してまいりました結果、昨年中は、約二千二百社に及ぶ企業が関係遮断を明示しております。  当庁では、関係遮断を促進する上で、これを明言した企業等に対する支援の強化が必要なことから、こうした企業等との緊密な連携を図り、保護対策の万全を期しているところであります。本年も、都民の皆様や関係機関等と連携しながら、犯罪者集団である暴力団の壊滅に向けて、暴力団総合対策を強力に推進してまいる所存であります。  次は、外国人犯罪対策についてであります。  昨年の都内における来日外国人の検挙件数は、急速な国際化の進展等に伴って、前年を大幅に上回る約八千五百件となっており、依然として犯罪の多発傾向が続いております。また、その内容を見ましても、すり等の窃盗事件のほか、殺人を初め、けん銃などの凶器を使用した強盗、身の代金目的誘拐等の重要犯罪が増加しており、しかも、このような犯罪を共謀して敢行するなど、凶悪化、組織化の様相をますます深めているのであります。特に、広域的な高級車窃盗事件や金庫破り事件、海外に不正送金を行ういわゆる地下銀行事件、あるいは我が国の暴力団と結託しての集団密航事件や大量薬物密売事件などに見られるように、外国人犯罪組織が我が国で活動を一層活発化させており、外国人犯罪は深刻化の度合いを一段と増しているのであります。  昨年は、こうした厳しい情勢に対処するため、国際組織犯罪特別対策本部を設置し、全庁を挙げて不法事犯に対する積極的な取り締まりを実施し、約四千五百人の被疑者を検挙したほか、組織犯罪の実態解明を図ったのでありますが、本年も関係機関等と緊密に連携して、的確な諸対策を徹底的に推進してまいりたいと考えております。  次は、銃器、薬物対策についてであります。  銃器及び薬物に対する厳格な規制は、我が国の治安維持の重要な要因でありますが、これらをめぐる情勢にはまことに厳しいものがあります。すなわち、昨年の都内におけるけん銃発砲事件は、二十六件と、前年に比べて増加しており、内容的にも、港区の赤坂一ツ木通り路上けん銃使用殺人事件や江東区の佐賀一丁目運輸会社社長けん銃使用殺人事件等、市民が直接けん銃で殺傷される事件が発生したのであります。加えて、先ほどご説明申し上げましたように、八月末の神戸市内における山口組幹部射殺事件以降、都内でもけん銃発砲事件が連続して発生するなど、都民の皆様に多大な不安感を与えたのであります。  また、薬物事犯につきましては、覚せい剤事犯が過去十年間で最高を記録した前年に次ぐ検挙件数となっており、しかも、高校生の間にまで広がりを見せているのであります。さらに、密売を資金源とする暴力団の根深い関与や外国人密売組織の我が国での暗躍はもとより、これら組織同士の結託が認められるなど、薬物情勢の悪化が一段と懸念されたのであります。  こうした情勢に対処するため、当庁では、銃器及び薬物の徹底した取り締まりに努め、昨年暮れの山口組傘下組織からの摘発などにより、けん銃二百六十三丁と、密売組織などから覚せい剤等の薬物約百十四キログラムを押収したのであります。  当庁といたしましては、現下の厳しい情勢にかんがみ、さらに徹底した取り締まりに努めるとともに、関係機関、団体と連携した追放活動等の広報啓発活動を展開して、強力かつ効果的な銃器、薬物対策を推進してまいる所存であります。  次は、少年非行総合対策の推進についてであります。  昨年の都内における非行少年の補導人員は約一万七千人で、前年に比較して約三百八十人の減少となっております。しかしながら、非行実態を見ますと、刑法犯が九二・五%を占めており、特に、殺人や強盗等の凶悪犯罪が三二・七%増加したほか、覚せい剤を初めとする薬物乱用事犯や、援助交際と称する女子少年の性非行事案も憂慮されるなど、少年非行は看過できない現状にあります。  これらの大きな要因の一つとしては、最近の社会環境の悪化が、成長過程にある少年に少なからぬ悪影響を与えていることが指摘されているのであります。こうした中、昨年、東京都テレホンクラブ等営業及びデートクラブ営業の規制に関する条例や、買春等処罰規定などを新設した改正東京都青少年の健全な育成に関する条例が施行されたのでありますが、当庁は、これら条例と関係法令の適正な運用により、少年の福祉を害する犯罪や地域の非行グループ等による悪質な少年犯罪の強力な取り締まりを推進したほか、青少年を取り巻く有害環境の改善に努めたのであります。  あわせて、関係機関、団体やボランティア等の協力をいただきながら、被害少年保護対策、薬物の乱用防止活動を推進するなど、強さと優しさを兼ね備えた総合的な少年対策を講じたところであります。  また、現在、大きな社会問題となっております少年の刃物所持事案につきましては、関係機関、団体等と緊密な連携を図り、地域ぐるみの対策を講じているところであります。  本年も引き続き、少年の非行防止と健全育成のために、各種対策を総合的かつ積極的に推進してまいりたいと考えております。  次は、交通安全対策についてであります。  昨年の都内における交通事故死者数は三百七十八人で、五年連続減少し、十一年ぶりに三百人台になった前年をさらに下回ったのでありますが、都内の交通情勢は、大量交通に伴う渋滞に加え、人身事故発生件数も、国民生活の多様化や高齢化社会への移行等を背景に増加傾向にあるなど、依然として厳しいものがあります。  死亡事故の内容を見ますと、年齢別では、六十五歳以上の高齢者が百人、次いで中学卒業時から二十四歳までの若年層が八十七人と多くを占め、当事者別では、歩行者と二輪車の運転者が全体の六七・二%にも及んでおり、また、事故の主な原因は、ドライバーの速度超過や信号無視、歩行者の横断禁止場所での横断等、基本的な交通ルールの無視やマナーの欠如となっております。  このような情勢に対し、当庁は、昨年も、交通死亡事故ストップ作戦を年間を通じて強力に展開し、悪質、危険、迷惑性の高い違反に重点を置いた取り締まりに努めるとともに、東京都を初め関係機関、団体の協力を得ながら、高齢者や若年層を中心とする、参加型、体験型、実践型の交通安全教育、広報啓発活動、交通安全施設の整備拡充等を推進し、交通事故の防止に努めたのであります。  一方、交通の円滑化につきましては、交通管制センターによる交通流に即応した信号制御やドライバーへのリアルタイムな交通情報の提供のほか、渋滞の大きな原因となっている放置駐車の排除、あるいは、中央線変移システムの導入、右・左折レーンやバスレーンの設置など、交通渋滞を解消するための総合的な対策を推進したところであります。  今後も、関係機関、団体の方々と緊密な連携を図り、都民の皆様のニーズと交通情勢の変化に対応した諸対策を積極的に講じまして、安全で快適な都市交通社会の実現に努めてまいりたいと考えております。
     次は、警備活動についてであります。  極左暴力集団各派は、組織の拡大を企図して大衆闘争の盛り上げを図る一方で、組織の非公然化、軍事化の傾向を強めており、昨年は、成田問題や日米安全保障条約に関する新ガイドラインの最終合意等に反発した闘争過程において、中核派と革労協狭間派が全国で九件、うち都内では、中核派が一件の凶悪なゲリラ事件を引き起こしております。一方、右翼は、尖閣諸島や竹島等の領土問題を初め、中学歴史教科書問題、金融・証券業界の相次ぐ不祥事等、国内外の諸問題に敏感に反応し、政府、財界、報道機関等に対して活発な抗議行動を展開しており、昨年は、刃物を所持しての外務省侵入事件、証券会社における暴力行為事件等を敢行したのであります。  こうした情勢のもとで、当庁は、ペルー共和国フジモリ大統領や中華人民共和国李鵬国務院総理の来日に伴う警備を初め、数々の事象に取り組んだのでありますが、都民の皆様のご支援とご協力によりまして、所期の目的を達成することができました。また、極左暴力集団、右翼に対する徹底した取り締まりを推進いたしました結果、極左暴力集団活動家二十五人、右翼活動家四十八人を検挙したところであります。  本年も、既に長野オリンピック冬季競技大会の開催に伴う諸対策を推進したところでありますが、引き続き厳しい警備情勢が予想されることから、的確な警戒警備を実施して、テロ、ゲリラ事件の防圧に向けて万全を期してまいる所存であります。  次は、地域安全活動についてであります。  交番、駐在所は、日々生起する各種警察事象に第一次的に対応する任務を持ち、すべての警察活動の原点となっておりますが、その果たす役割は、地域社会の治安のよりどころとして、現下の厳しい治安情勢の中で一段と重要性を増しております。このような観点から、当庁では、交番所長の配置を初め、空き交番対策の推進や交番相談員の運用、交番の大型化、ハイテク化、さらには、ふれあい連絡協議会の活性化や、「ともに築こう安全な街」活動等、その機能を強化するための数々の施策を講じてまいりました。  また、各地域におきましては、住民の方々が自主的に多くの防犯ボランティア組織を結成し、それぞれの組織が、その特色を生かして、毎月二十日の地域安全の日を中心に、警察と合同で環境浄化活動や防犯パトロール等を実施するなど、犯罪や事故のない安全で平穏なまちづくりを目指した各種の活動を積極的に展開し、地域のきずなを深めながら、成果を上げているのであります。  今後とも、都民の皆様の意見、要望を的確に把握して、平穏にして安全な地域社会を守るために、地域に密着した諸施策と警察活動を積極的に推進してまいりたいと考えております。  最後に、犯罪被害者対策についてであります。  犯罪により被害を受けた方々の精神的な被害等については、昨今の凶悪犯罪を通じて、その深刻な状況が広く認識され、社会的な関心が高まっているところであります。当庁では、被害者の方々の負担を軽減し、その支援をするために、犯罪被害者ホットラインによる相談業務や、各種情報を掲載したパンフレットの提供等、数々の施策を講じておりますが、特に昨年末には、東京都を初めとする関係機関、団体と東京都犯罪被害者支援連絡会を設立し、一層きめ細かい活動ができるように努めたところであります。  本年も、被害者の負担を少しでも軽減するために、総合的な対策をさらに推進してまいる所存であります。  以上、都内の治安状況について申し上げましたが、本年も数多くの重要課題が山積しており、治安を取り巻く諸情勢には極めて厳しいものがあります。警視庁といたしましては、今後とも、重要課題の一つ一つに真正面から取り組み、首都の治安維持と都民生活の安全確保に全力を傾注する決意でございます。  都議会議員の皆様におかれましては、どうか警察活動を取り巻く諸般の状況を深くご理解いただき、警視庁に対するなお一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、私の治安状況報告を終わらせていただきます。(拍手) ◯議長(田中晃三君) 以上をもって警視総監の発言は終わりました。      ───────────── ◯議長(田中晃三君) 次に、監査委員より、監査結果の報告について発言の申し出がありますので、これを許します。  監査委員花川与惣太君。    〔七十三番花川与惣太君登壇〕 ◯七十三番(花川与惣太君) 監査委員を代表いたしまして、過去一年間における監査結果の概要についてご報告申し上げます。  最近における我が国の社会経済状況は、バブル経済崩壊以降、景気が低迷し、大型企業倒産や証券・金融機関の経営破綻が起きるなど、まことに厳しい状況にあります。こうした状況を背景に、都政及び都政を取り巻く状況につきましては、行政面では、行政改革や地方分権の積極的な推進が求められており、財政面では、景気の停滞を背景に、都税収入の大幅な落ち込みから巨額の財源不足が見込まれるなど、極めて深刻な財政状況に直面しております。  二十一世紀を目前に控え、高齢化や少子化の進行、情報化の進展などにより、都政は大きな転換期を迎えております。都民の都政に対する期待や要望は、福祉、防災、環境問題、産業振興など多岐にわたっており、さらに、都政の公正性、効率性や透明性も強く求められているところであります。そうした中において、東京都は、新しい時代に向け、生活都市東京構想を策定し、成熟社会において、より高い生活の質を実現するための理念と戦略を示す一方、深刻な状況にある都財政に対処するため、東京都財政健全化計画を策定し、内部努力の徹底と施策の見直しを進めるとともに、歳入の確保に努めるなど、全庁を挙げて財政健全化に取り組んでおります。  私たち監査委員は、このような都政と都政を取り巻く状況を念頭に置くとともに、昨年七月に今後の監査方針として決定した「都におけるこれからの監査委員監査のあり方」も踏まえて、各種事務事業が適切な規模、内容をもって効率的で効果的に運営され、その目的を十分に達成しているかどうかに留意しつつ、予算が適正かつ効率的に執行されているかを主眼として各種監査を実施してまいりました。  その結果、予算及び各種事務事業は、全体としては良好に執行されているものの、なお一部に是正、改善すべき事項が見受けられ、合計百五十件の指摘をするとともに、改善要望等の意見を表明した次第であります。  以下、具体的な事例を挙げながら、監査種別ごとにご報告申し上げます。  まず最初に、財務監査について申し上げます。  財務監査は、財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理について、年二回定例的に実施するものでありますが、本庁の各部及び五百六十カ所の事業所を監査いたしました。平成八年度第二回財務監査においては、新たに重点監査事項を設定することとし、随意契約による委託料を対象といたしました。重点監査事項の結果といたしましては、歯科技工業務の委託に当たり、単価契約を締結しているが、これとは別に、特別な理由がないにもかかわらず割高な個別随意契約を締結しているものなど、事務処理が適切でない事例が見受けられました。  次に、収入関係について申し上げますと、土地及び家屋の認定、評価について、同一画地として認定すべきところ、一筆ごとに評価していることなどにより、固定資産税、都市計画税が約二千四百三十五万円課税不足となっているもの、課税すべき事業用の償却資産について、納税義務者が申告していないため、固定資産税が約百四十五万円課税漏れとなっていることから、申告慫慂すべきものなど、都税収入の確保に適正を欠く事例が見受けられました。また、療養に要する費用の額の算定に当たり、保険診療に用いられる医療材料を算定しなかったため、約九十六万円が算定不足となっているものなど、収入の確保に適切を欠く事例が見受けられました。  次に、支出関係について申し上げますと、電話回線使用料の支払いにおいて、計画どおりにオンライン化が実現しておらず、電話回線が使用されていないにもかかわらず基本使用料を支払っているもの、環境情報管理システムのデータの整備に当たり、総務局が行った統計調査事務から生じた統計データが活用できるにもかかわらず、これを活用することなく他から購入しているもの、プールサイドに敷くマットの購入に当たり、プール使用期間中に予算配付を受けているにもかかわらず、プール使用期間終了後、約五カ月経過後に購入しているものなど、経済性や効率性の面から問題のある事務処理がなされている事例が見受けられました。  次に、平成八年三月に全庁的な自己点検を行った会議開催経費、都議会開会中の食糧費、超過勤務手当、宿泊を伴う近接地外旅費及びタクシー利用券の五項目について、点検以後その事務処理が適正に行われているか否かを主眼に、本庁各部及び二百六十七カ所の事業所を監査いたしました。その結果、会議開催経費及び都議会開会中の食糧費につきましては、いずれも適正に執行されていることを確認しましたが、その他の三項目につきましては、以下のような事例が見受けられました。  まず、超過勤務手当においては、支給時間や金額の計算に誤りがあるもの、宿泊を伴う近接地外旅費においては、旅行命令が変更された場合の事務処理や職員の復命のあり方に適切を欠くもの、旅費の計算や支給、精算手続に適正を欠くもの、また、タクシー利用券においては、物品受け払い簿や使用記録簿の整備、記帳に適正を欠くもの、旅行命令簿と整合していないものなど、事務処理を中心に是正、改善を要する事項が多く見受けられました。  これらの是正、改善を要する事項の多くは、事務担当者がそれぞれの制度や事務処理方法に熟知していないこと、内部のチェック機能が十分に働いていなかったことなどに原因があることから、日常的な内部管理業務に関する事務処理について、職員の意識改革を着実に推し進めていくこと、基本的な事務処理について、マニュアルの充実や定期的な実務研修の実施などにより、事務処理能力の向上を図ること、事業執行部局内の自己検査体制を含めたチェック機能の充実強化を図るよう、早急に検討、実現することの三点について意見を付したところであります。  続いて、工事監査について申し上げます。  工事監査は、都の施行している工事が適正に行われているか、技術面を主眼にして実施するものでありますが、この一年に三千八十五件、一兆七千二百四十八億円に上る工事を監査いたしました。その結果、排水処理場の処理水槽の建設工事において、充てんする埋め戻し材を、設計では購入した砂を使用することとしているが、費用等を考慮し、建設残土再利用センターの改良土を積極的に活用すべきもの、外溝整備工事の排水工の積算に当たり、土どめ工の単価の中に支保工が含まれているにもかかわらず、支保工を重複して計上したため、積算額約九十九万円が過大となっているもの、配水管布設がえ工事において、当初設計で即日復旧施工としていた箇所のうち、即日復旧施工が困難となった部分を覆工施工に変更したことに伴い、不要となった再掘削工を減じなかったため、積算額約二百一万円が過大となっているものなどの事例が見受けられました。  以上、財務監査及び工事監査について述べてまいりましたが、両監査において指摘した収入不足や不経済支出などの金額を合計いたしますと、約八千百三十万円となっております。  なお、これらの指摘事項については、各局において早急に是正、改善するよう求めているところであります。  続いて、財政援助団体等監査について申し上げます。  財政援助団体等監査は、都が補助金等の財政的援助を与えている団体、資本金などの四分の一以上を出資している団体などについて、財政援助等の目的に沿って、事業を適正かつ効率的に執行しているかどうか、また、所管局の団体に対する指導監督が適切に行われているかどうかを主眼として実施しているものでありますが、この一年間に三十五の団体及びその所管局について監査を実施いたしました。  その結果、一部の団体及び所管局において、補助基準額の算出を人件費率で行うこととしているが、補助金交付要綱において人件費率の算出基準が明確に定められていないため、異なる人件費率により補助金額を決定しているもの、都民住宅の入居者に対する新しい入居者負担額の通知が著しくおくれているため、公社において、トラブル防止等のために、別途、新入居者負担額のお知らせを送付していることから、入居者負担額の決定通知書を適正に送付するよう求めたもの、普及啓発事業経費について、既に執行されているにもかかわらず、収支計算書に計上されていないなど、会計処理に不適切なものがあることから、その改善を求めたものなど、是正、改善すべき事例が見受けられました。  次に、平成八年度決算審査について申し上げます。  決算審査は、知事から依頼を受けました歳入歳出決算書等につきまして、決算計数に誤りはないか、財政運営は健全か、予算執行について法令に従って効率的に行われているかなどに主眼を置いて審査手続を行うものでありますが、審査の結果、出納長所属各会計につきましては、土地、建物など財産に関する計数について、債権六十四億四千三百四十三万余円が「財産に関する調書」に登載されていないなどの誤りがあることを指摘するとともに、市町村保健福祉総合センター施設整備費補助事業、骨髄移植無菌室整備補助事業、災害時後方医療施設の耐震診断補助事業、子ども家庭支援センター事業補助、乳幼児健康支援デイサービス事業補助について、決算数値の執行率が低いことなどから、その推進に一層の努力を図るよう意見を付しました。  また、公営企業各会計につきましては、病院会計及び下水道事業会計において固定資産の計上を誤っているものなど三件を指摘するとともに、各会計とも事業を取り巻く経営環境には厳しいものがあることから、今後とも、なお一層の経営努力を払うよう意見を付しました。  なお、例年報告しております行政監査につきましては、現在、監査を実施しているところでありますが、これは、平成九年度監査基本計画において、より効果的な監査を行うという観点から、各種監査の実施時期の変更等を行ったことによるものでございます。  最後に、住民監査請求について申し上げます。  住民監査請求は、住民が執行機関や職員による財務会計上の行為に違法または不当な行為があると認めるとき、監査委員に監査を求め、必要な措置を講ずることを請求するものでありますが、平成九年二月からの一年間に三十五件を処理いたしました。請求内容の内訳は、会議費や補助金などの公金支出に関するもの二十六件、財産管理に関するもの三件、契約締結に関するもの三件、公金賦課に関するもの一件、その他これらに属さないもの二件となっております。また、その処理状況は、請求人が取り下げたもの二件、請求期間を経過したり、都の財務会計上の行為に当たらないものなど、地方自治法上定められている請求の要件を欠いていることから、請求を受理せず、いわゆる却下したもの十六件、請求を受理し、審査の上、違法不当とする請求人の主張には理由がないことから棄却したもの十七件となっております。  なお、棄却したものについても、その約六割については、監査委員として、事業執行当局に対し、事務改善等の意見要望を付したところであります。  以上、監査結果の概要について述べてまいりましたが、執行部局においては、これら監査結果に十分留意し、今後の事務処理の適正な執行に一段の努力を望むものでございます。  終わりに当たり申し上げます。  都政の前途には、社会経済情勢の不透明感、引き続く厳しい都財政など、多くの困難が待ち受けております。本格的な少子高齢社会の到来などにより、財政需要は拡大の一途をたどると見込まれる一方で、今後の都税収入は大幅な伸びが期待できない状況であります。都政運営は、都民の貴重な税を財源として行われており、常に最少の経費で最大の効果を発揮するよう運営されることが基本であります。このためには、職員一人一人が都の置かれている厳しい状況を改めて認識するとともに、行政みずからが内部努力を含む行政改革を進め、スリムで効率的な都政の実現に向けて、全力を挙げ取り組んでいくことを強く要望いたします。  ところで、昨年六月には地方自治法が改正され、地方行政の公正と能率を確保するため、監査機能の充実を図ることを目的として、外部監査制度の導入と監査委員制度の充実強化などが図られました。私たち監査委員といたしましても、このような状況を十分認識し、都の行財政運営の適正性、有効性、効率性を確保し、あわせてその透明性の向上に資するよう、監査業務の遂行に全力を尽くす所存であります。何とぞ皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。  以上をもちまして監査結果の報告を終わります。(拍手) ◯議長(田中晃三君) 以上をもって監査委員の発言は終わりました。      ━━━━━━━━━━ ◯六十七番(樺山卓司君) この際、議事進行の動議を提出いたします。  本日の会議はこの程度をもって散会し、明二十六日から三月二日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。 ◯議長(田中晃三君) お諮りいたします。  ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(田中晃三君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこの程度をもって散会し、明二十六日から三月二日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。  なお、次回の会議は、三月三日午後一時に開きます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後二時十六分散会...